パルミジャーノ・レッジャーノ

イタリアの台所(夫)と呼ばれるほど代表的なチーズ。固形をすりおろして粉チーズにして使うのが主流。
なおパルメザンチーズは英語で❝パルミジャーノ・レッジャーノ風のチーズ❞という意味であり、アメリカンな粉チーズを指し、イタリアンとは厳密には違う。

カチャトーラ

宿命は予め決められていて変えられない筋道。運命は生きてる内に出くわす分岐点



とある文献で


宿命と運命の違い


をそのように述べていた。

自分にとってそんな



[宿命と運命の交差]



をすごく感じさせられる腐れ縁が一人いる。

自分の一コ上の中年ドラマー

パルミジャーノさんである。

宿命





パルミジャーノさんの

生い立ちの話をすると

彼は某有名バンドの

ロウディー(付き人)

を務めた父の下に生まれ

小さい頃からビートルズを聞きながら

育ったという。



リンゴスターが笑顔で

おかっぱを振り乱しながら

ドラムを叩くビートルズの

白黒のPVを見た時

パルミジャーノ

映像に映っていない、お腹にズンズン響くこの低い音はなんだろう?


それがパルミさんの音楽の初期衝動だったという。


その正体が

ドラムセットの足元にある

一番デカい太鼓=バスドラム

であると知ったのは高校卒業の時。


大学デビューにバンドを始めようと

画策していた頃の事であった。

大学に入学してからは

学内のスタジオに籠り

修行僧のようにひたすら

メトロノームに合わせながら

ドラムを叩き続け

TSUTAYAで毎週CDを借りては

iPodが容量オーバーになるまで取り込み

気に入ったフレーズを耳コピして

独り黙々と叩き続ける。

さらに

帰宅してからサイレントドラム

AVとお笑いビデオで

足の踏み場の無い

3.5畳の自分の部屋で復習する。



それを繰り返す事で一年が過ぎた。




その間

一人も友達は出来なかったという。



だがその甲斐あって

所属する軽音サークルの

助っ人ドラマーとして

学内外のバンド活動で

引っ張りだこになった。



彼のドラム捌きの

異常な手数の多さから



〔千手観音ドラム〕



と例える人もいた。



ただその代償に

大学6年生まで

在学する羽目になった。


因みに

その無口であんこ型の体系

そして何より

性格の暗さのせいで

女性からモテる事はほとんど無かった。


卒業後

バンドに恵まれず

一旦音楽活動を休止して

結婚式会場の音響会社に就職するが

式のクライマックスで



≪曲を掛け間違える≫



という大失態を切っ掛けに

事実上のクビに追い込まれる。


失恋の心痛も重なって

カフェインサプリメントを

大量摂取して

鼻血まみれで路上に倒れ

自殺未遂をする。


ICUに運ばれて

あわやという所までいったが

幸い後遺症もなく一命を取り留める。





そこで一念発起をしたのか

下北沢を中心に精力的に

バンド活動をした結果


新人メジャーバンドから

サポートドラマーとして

スカウトされ勢いそのまま

日本最大級のロックフェスティバル

に出演する。

パルミジャーノ

楽屋裏でパフィーが喋ってたり、ケータリングできゃりーぱみゅぱみゅが隣でサラダ食ってて感動した


だが

それから一か月足らずで

そのバンドをクビになる。




理由は

リズムキープの甘さが

消えない技術面と

持ち前の威圧感が

メンバーに多大な悪影響を

与えた模様。


今は細々と

弁当運送のバイトをしながら

メインのバンドで活動し

たまに古豪の有名ロックバンドと

対バンしたりしているようである。



実は在学中に

彼は父親を亡くしている。



父は母との結婚を機にバンド活動を辞め

婿養子入りして母方の

トラック運送会社の跡をついで

パルミさんを育ててきた。

お前がバンドやってる姿を見てるだけで俺は幸せだよ



父は生前そう語っていたという。



男前の元バンドマンの父の遺伝子を

受け継いだ彼が

今もドラムを続けるのは

血の宿命なのかもしれない。

運命





その一方で

元婦人服モデルの母

から生まれた運命も持ち合わせている。

パルミジャーノ

何でかっていうと自分、古川家は代々長男を過保護にする歴史があるんだよ


その運命に従う形で

パルミさんは今現在も

パルミジャーノ

君にはわからないかもしれないけどバンドマンは金が無い。メジャーでも実家暮らしじゃないとやっていけないヤツなんてザラだぜ?


を理由に家に金を一切いれずに

実家暮らしをしている。


その可愛がりの甲斐あって

パルミさんはドラムや趣味以外の

実生活にはビビりで有名。

それでいて


“言わぬが花”

という概念に乏しく

何かっちゃあ

褒められたいアピールをするし、

すぐに卑しい調子の乗り方をする。



その一個一個が実に冴えない。

ピッツァ

その服オシャレですね

パルミジャーノ

カッコ良いっしょ。上から下まで全部母親に買ってもらったから



という

違ったニュアンスの大人買いを

未だに受け入れていたり



一緒にスタジオに入って

遊んでいる時も

ご自慢の千手観音ドラムを披露した際

こっちが褒めようとする前に

パルミジャーノ

どう、上手いっしょ?何でかっていうと最近自分は…



と先手を打たれて

勝手に自慢話が始まり

こちらからは何も言えなくなる。



本人も自覚があり

あえて自虐ネタにして

笑いを取りに行くのだが

大抵の人には苦笑いで終わりらしい。



ただ高笑いの時は

エドモンド本田に似ていて

歯を噛み締めてクククと笑う時は

チキチキマシーンのケンケンに似ている。



その顔が唯一無二の面白さなので

たまに会いたくなって

会う度に色々とがっかりさせられる。



何でかっていうと自分は

きっと彼とは今後も

腐れ縁だからである。

La Fine

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