リングイーネ
リングイーネ
語源であるlinguaは舌と言う意味で、断面が楕円形をしたロングパスタ。
バジリコと松の実を使ったペスト・アッラ・ジェノヴェーゼ、いわゆるジェノヴァ風ではこのリングイーネを使う場合が多い。”
※パスタの種類はこんなにあった!写真付きまとめhttp://matome.naver.jp/odai/2139648914408533601参照のこと
経験上、
色男というのは得てして嘘つき、
控えめに言っても見栄っ張りが
非常に多い人種だと思う。
いや厳密にいうと
それがその場で恰好のつくセリフであれば
何でも許されてしまうのである。
例えそれが天然でも腹黒でもだ。
かつて同僚にそんな青年がいた。
二年前に辞めたアルバイトで
リングイーネくん19歳である。
身長183㎝、股下90は
あろかというモデル体型の
笑顔が爽やかなイケメンで
将来飲食店をやりたくて
調理師免許を取るために
焼肉屋で働いているという。
その一方で
地元が浅草というのもあってか
褐色な肌
肩で風を切って歩く
危険な江戸っ子な空気感も
持ち合わせていて
一癖も二癖もある男であった。
とにかく
リングイーネ君の世間話は面白かった。
というか冷や汗が出た。
パチスロは14歳で始めました。
俺老けてるから全然店員に気づかれなくて楽でしたよ
神社で仲間と一緒に神社に夜中集まって筋トレするんですよ。延々スクワット。
脱落したヤツはみんなで肩パン一周してから追加1セットで。それを朝まで延々とやってましたね
町金の店番させられてたんですけど、たまに顧客と地下室でメンツ合わせで麻雀打たされてましたね。
何を賭けて卓囲んでたのかは教えてもらえなかったです。まあそもそも点数計算すら出来ないからどうでも良かったですけどね。俺、バカなんで
死体運びの仕事頼まれた事あるんですよ。❝もうバラしてある。お前は紙袋一個分を適当に川に捨ててくれればそれでいいからって❞けどさすがにそれは断りましたね。
犯罪幇助して一回、10万ですよ?ガキだからって足元見過ぎでしょ?
俺、劇場時代からのAKBファンでプレミアで10万するマグカップ持ってるんすよ
よく幽霊連れて来ちゃうんで、この前も寝室のドアを女の霊がガタガタ悪戯してきたから怒鳴って追い返してやりましたよ
そんな感じで飄々とアウトローな話
(後半違かった気がするけど)
を展開する10コ下の江戸っ子に
東北出身の当時30歳なろうかという
自分は完全にチビッていた。
彼がウチに入ってから一か月後
オーナーと金締めをしている時に
金額が合わない事が多々起こり始めた。
おい、リングイーネの言う事を鵜呑みにするんじゃねえぞ。アイツは信用できないからさ。見栄を張るタイプだ!
わかりました
(何だか俺が怒られてるみたいな気分だけど)
そんなオーナーの鋭い視線を察してか
どうして俺の時ばっかお金合わないんだろ?多分疑われてますよね、俺
と冗談交じりに言って来て
自分は苦笑いした。
それと関係してか徐々に
体調がおかしくなってきて
仕舞には急性胃腸炎で入院。
退院後は知り合いの紹介で
渋谷の洋食店に修行したいとの事で
そのままウチの店を辞めてしまった。
それから一年後
リング君はウチに遊びに来た。
さらに身長が伸びていて
186㎝になっていた。
景気よく仲間たちに回数券を奢ってから
俺最近焼肉屋の店長になったんですよ!!
と嬉しそうに語っていた。
ところが後日
彼とよくつるんでいる
ウチの元アルバイトのペンネ君に
この話を流すと
初耳だなあ。今度聞いてみます
さらに後日
ペンネ君が事実確認すると
店長
…代理的な仕事を任される事も
あるらしい。
要はバイトリーダーといった
ポジションだったようである。
よくよく話を聞くと
地元じゃちょっと知られたワル
…かと思いきやそうでもなく
実は相当気弱な
いじられキャラのようだった。
ペンネ君によると
実はリング君は酒に酔うと
気持ちが大きくなってしまって
ある事ない事吹聴してしまうらしく
そのせいでちょっとした
アクシデントがままあったのだという。
もしかして急性胃腸炎って嘘つきすぎて胃に穴が開いたからか?
差し詰め、言ってたことの殆どは実話ナックルズから引っ張って来たネタばかりだろうよ
と今更ながら思ったが
最近会ったペンネ君から得た
リングイーネ君の新情報によると、
リングーってヤクザの構成員だったらしいですよ。じいちゃんがこの辺りの〇〇組の元幹部で、色々口利きしてもらって組を辞めさせてもらってからウチのバッセンに流れて来たらしいです
オヨヨ
彼ならあり得るかもしれないし
そうでないかもしれない。
これまでのアウトロー発言を
結び付けるものになり得るが
また彼のブラフかもしれない。
10代から煙草とギャンブルに
手を染めた人間は大体もって
脆くてフワフワしている輩が多い。
因みに
情報提供者のペンネ君も
御多分には洩れず
先日パチスロ打ちに行く約束を
すっぽかされてしまった。
しごく真っ当で気弱な
青春期を生きた僕は
そんな闇の年下たちに
煙に捲かれるばかりである。
余談
ピッツアが現在連載中の『猫背の整骨師 ゴースト』
https://storie.jp/creator/story/episode/24131
のエピソードは実際一人で飲み屋を経営していたというリング君のお婆ちゃんの話をモチーフにして作ったストーリーである。
なので、他の世間話は全部ウソでもいいから、あのエピソードだけは本物であってほしいと作者は信じてやまない。
La Fine