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〜 ナゲー運河河川 〜
＊ ＊ ＊
わっせ！ほいせ！
わっせ！ほいせ！
もっふ！もっふ
対岸の港町へと向けて運河を渡る勇者様。
もちろん、舟を漕ぐのは勇者様だけです。
あとちょっと！
もふ！もふ！
渡し場の桟橋まで
もう少しというところの事です。
ナゲー運河の上流から
大きなバナナが
どんぶらこ～
どんぶらこ～
と流れてくるではありませんか。
……なんだ、あれ？
もふぅ？
ヤバイ、ぶつかる！！！
もふ！もふ！
急いで舟を漕ぐ勇者様。
しかし、大きなバナナは
まるでホーミング弾のように
勇者様の舟に突っ込んできます。
うわわわわ！！！
謎の漂流物
上流から来た大きなバナナと
運河を渡る勇者様の舟は
上手いこと力が合わさり
共に桟橋の上流側に押し込まれて
停まりました。
危なかったぁ……。
もふぅ……。
そこへ1つの人影が……。
おう、あんたら兄貴の舟でこっち側へ来たのかい？
んー？
舟から桟橋を見上げると、
男の人が立っていました。
あ、ポルトの渡守さん。
そりゃ兄貴のほうだな。
オラァ、ヨー・コソの渡守のトワ・ベルナールってんだ。
勇者様に手を差し伸べながら話す
ベルナールさん。
渡守で鍛えたその体は
筋肉質のマッチョです。
弟さんなんですか？
瓜二つですねー。
勇者様はベルナールさんに引っ張ってもらい、
舟から桟橋に上がります。
ああ。
ノルベール兄貴とは双子なんだ。
双子岬の双子渡守、トワ兄弟とは俺達の事さ！
へぇー。
それ、ノルベール兄貴の舟だろ？
兄貴はどうしたんだ？
勇者様は少し困り顔で答えました。
それが、昨日からずっと渡し場が留守で……。
まじか！
昨日どころかここ数日、
誰も渡って来てなかった。
もしかしたらもっと前から留守なんじゃねぇか？
そう言えば、街の人もそんなこと言ってました。『しばらく見てない』って。
ぬぅ。
張り紙には『緊急時は舟を使っていい』って書いてあったんで、それで……俺は勝手に乗ってきたんです。
おいおい……初心者に自力でこの運河を渡らせるような事をするなんて……。
どうしちまったんだ、兄貴は。
ベルナールさんは肩をすぼめながら言います。
ところで……
視線を舟の横へと落とすベルナールさん。
ありゃぁなんだ？
ベルナールさんは、
舟の横で桟橋に引っかかっている
大きなバナナを指さしました。
あ！忘れてた！
上流から流れてきたんです。
アレのせいで危うく沈没するところで……。
もしかして、新手の魔物かな？
もふぅ？
んー、とりあえず引き上げてみるか……。
よっこいせ、と
ベルナールさんは
川からバナナを引き上げました。
奇妙な黄色く長い物体を
まじまじと見つめる2人と1モフ。
実はこの世界では
まだバナナが発見されたことは
ありませんでした。
なんだろう、これ。
渡し舟とほぼ同じ大きさだな……。
くんくん……。
なんか甘そうないい匂い……。
もふ？
もしかして果物なのか？これ。
皮が剥けそうだな……。
よし、剥いてみよう！
2人と1モフは力を合わせて
奇妙な長い物体の皮を剥き始めました。
うんとこしょ！
どっこいしょ！
とうとう皮は剥けました。
するとビックリ！
こ……これは！？
なんと、長い物体の中からは
目を閉じて横たわった
男の人が現れました。
兄貴！！！
兄貴じゃないか！！！
まさか死んでるのか！？
すると、兄貴さんは
パチリと目を開けました。
……んー？
むにゃむにゃ。
生きてた！
ここはどこだ？
うおー！！兄貴ー！心配したぞー！！！
バナナから産まれた
バナナ太郎！
ほうけ眼の兄貴さん。
妙なことを言い始めます。
バナナ…太郎……？
何言ってんだ、兄貴！！
バナナ太郎。
ノルベール兄貴さんが投げかけた一言に
みんな首を傾げます。
俺はバナナ太郎……じゃないのか？
トワ・ノルベール。
それがアンタの名前じゃんか、兄貴。
俺は……
バナナ太郎じゃなかった……。
がっくりと肩を落とすノルベール兄貴さん。
甘い匂いが辺りを包む中、
微妙な空気が漂います。
つづく
【勇者勇の装備】
レベル ：15
めいせい ：237
ぶき ：新品の短剣
よろい ：鋼鉄のよろい
かぶと ：銀の額当て
たて ：なし
どうぐ ：野ばらのペンダント
焼豚×2
焼きとり×2
淡水ザメの煮凝り
淡水ザメの骨
淡水ザメの牙
いつもの額当て
なかま ：もふもふ
とくぎ ：ファイアブレス
トキシックブレス
釣り
じょうたい：対岸へ移動成功
【シーラの装備】
レベル ：11
めいせい ：130
ぶき ：いつもの本
よろい ：いつもの服
かぶと ：いつもの飾り
たて ：なし
どうぐ ：やくそう×95
イーサ薬×9
乗船券×4
おみやげ×99
なかま ：戦士ポメラ
大魔導ソルフェージュ
コボルト
とくぎ ：しょうかん、値切り、冷やかし
じょうたい：パーティーリーダー、航海中
