掃除当番で、僕は男子便所にいた。
まじめに学校生活を送る、
という方針を第一に掲げている僕は、
もちろん掃除もまじめに取り組む。
限られた時間を利用して、
小便器も大便器も、
掃除用具入れにある謎の流し台も、
ピカピカにしたい。
男子便所には、
もちろん女子である沙鳥はいない。
僕と同じテレパスである沙鳥は、
いつもテレパシーをだだ漏れにして
授業に集中したい僕の邪魔ばかりする。
しかし、今はそれもないのだ。
さあ、心置きなく、
トイレを掃除しよう。
そう思ってバケツに水をためていると、
声がした。