フシュー
シュシュッシュシュ シュシュッシュ
フギャアアアアアアア!
やーらーれーたー
ただいま。何やってんの……
やーらーれーたー
おい やめろ。
庭に猫が現れたので。追い払おうとして逆襲にあいました。
近所の子供が餌をやるときはおとなしいのに。
恵さん、猫にはエイミが人間ではないとわかるのでしょうか?
どうかしら。餌をくれるかくれないかで判断してるだけじゃないの……
猫にとって、人間だろうがドロイドだろうが、別の存在だもの。その違いに興味はないんじゃないかしら。
人ならば、猫を愛おしく思い、かわいがる事もできると聞きますが。
まーね。可愛いからかわいがる、ってのは確かにある。
単なる機能としてかわいがるのと、可愛いと思ってかわいがるのと。何か違いはあるのかもしれないわね。
…………ねえエイミさん。
あなたは、あたしがいなくなったらどうするの?
ここにいるじゃないですか。
そうじゃなくて。お父さんが帰ってきて、エイミさんを持って行っちゃったり、あたしがエイミさんを必要としなくなったら――どうなるのかなって。
あまり考えたくはないんだけどさ。
無意味ですよ。
?
エイミは恵さんのお世話ドロイドなんです。恵さんがいなくなることなど考えなくていいんです。
そうかなあ。だって、今だって学校行ってるから、日中はエイミさん一人でやってるじゃない。
さっきだって猫と戯れてたわけだし。
それは単なる外出ではありませんか。毎日帰ってくることがわかっているなら――
毎日じゃなかったら? 3日に一回、1年に一回……
10年に一回しか帰ってこないなら……
その間の生活は、エイミさん自身で考えることになるんじゃない?
――――――なぜこんな話を? 恵さんはいなくなってしまうのですか?
ものの例えよ。ただ、あたしがいなくなったときまでエイミさんを縛りたくなかったの。
そんなものは……エイミの機能を超えた願いです……