フシュー

エイミ

シュシュッシュシュ シュシュッシュ

フギャアアアアアアア!

エイミ

やーらーれーたー

ただいま。何やってんの……

エイミ

やーらーれーたー

おい やめろ。

エイミ

庭に猫が現れたので。追い払おうとして逆襲にあいました。

エイミ

近所の子供が餌をやるときはおとなしいのに。
恵さん、猫にはエイミが人間ではないとわかるのでしょうか?

どうかしら。餌をくれるかくれないかで判断してるだけじゃないの……

猫にとって、人間だろうがドロイドだろうが、別の存在だもの。その違いに興味はないんじゃないかしら。

エイミ

人ならば、猫を愛おしく思い、かわいがる事もできると聞きますが。

まーね。可愛いからかわいがる、ってのは確かにある。

単なる機能としてかわいがるのと、可愛いと思ってかわいがるのと。何か違いはあるのかもしれないわね。

…………ねえエイミさん。

あなたは、あたしがいなくなったらどうするの?

エイミ

ここにいるじゃないですか。

そうじゃなくて。お父さんが帰ってきて、エイミさんを持って行っちゃったり、あたしがエイミさんを必要としなくなったら――どうなるのかなって。

あまり考えたくはないんだけどさ。

エイミ

無意味ですよ。

エイミ

エイミは恵さんのお世話ドロイドなんです。恵さんがいなくなることなど考えなくていいんです。

そうかなあ。だって、今だって学校行ってるから、日中はエイミさん一人でやってるじゃない。

さっきだって猫と戯れてたわけだし。

エイミ

それは単なる外出ではありませんか。毎日帰ってくることがわかっているなら――

毎日じゃなかったら? 3日に一回、1年に一回……

10年に一回しか帰ってこないなら……
その間の生活は、エイミさん自身で考えることになるんじゃない?

エイミ

――――――なぜこんな話を? 恵さんはいなくなってしまうのですか?

ものの例えよ。ただ、あたしがいなくなったときまでエイミさんを縛りたくなかったの。

エイミ

そんなものは……エイミの機能を超えた願いです……

13 未来:守る人のいなくなった世界は

facebook twitter
pagetop