【はじめに】

このエピソードは、

当初URLを知っている人限定で

公開していたエピソードです。



そのURLは

エピソード『false || false』

にてリンクとして設定してあります。




この度、本作のコンセプト・仕掛けを含めて

応募しておりましたコンテストが

結果発表まで終了したのを受けて

本エピソードを通常公開いたします。




先にお伝えした通り、このエピソードは

『false || false』からの分岐エピソードですので

その事を念頭に置きながら読んでいただくか、

『false || false』からのルートを探した上で

読んでいただければ幸いです。



















































少女は諦めなかった。




諦めたくなかった。













意識しかない自分に




何かできるとは思えない。




けれど、ここで諦めてしまっては




大切な物を本当に失ってしまう。













少女は意識と繋がっていない体を




どうにかして動かそうと




なりふり構わず力を込めた。












だいちぃ!



ダメェェェ!!



お願い!!!



体、動いて!!!!















REALIZE


















少年の指に今にも鏡の指輪が



通ろうとする時。








それは突然。














少年の手を掴んでいる少女の右手が、




何かに叩かれたようにぶれた。



明日菜

あっ!!

佳子

えっ?



その拍子に少女は



少年の手を掴んでいた自分の右手に



鏡の指輪をはめてしまった。


明日菜

い、いやぁぁ!!

大地

おい、佳子?
大丈夫か?











少女の入れ物は





しばらく呆然としていた……。



………




































そして……


























突然ボロボロと大粒の涙を流し始めた。






佳子

うぅ…だいちぃ……

佳子

だいちぃ…だいちぃ…

佳子

だいちぃぃぃ!!!





泣きながら少年に抱きつく少女。



大地

!!!

大地

………




少女の突然の行動に




少年は戸惑い



何が起こっているかわからなかった。




だが、その手は自然に少女をそっと、




そして力強く抱きしめていた。



















泣きながらしがみつく少女を





愛おしく見ながら





少年は多くを聞く必要はない、と悟った。


















もう、いつも通りの二人に




再びなれることを直感していたから。

























階段を降り




昇降口へと向かう二人の影。














繋がれたその手からは




いつの間にか鏡の指輪は消えていた。













二人はいつもよりもゆっくりと




噛みしめるように帰り道を歩いてゆく。















少しでもこの時間を大切にしよう、と。
































地平線に沈みかけた太陽は






手をつなぐ二人の影を





どこまでもどこまでも





長く伸ばした。



































ツヴェルタ

実に見応えのあるお二人でした。

ツヴェルタ

無事、二人の中も保つことができましたし、クピドの面目躍如といったところでしょうか。

ツヴェルタ

おや……?










………。












ツヴェルタ

あの人にも鏡の指輪が必要そうですね。

ツヴェルタ

鏡の指輪には
もう一仕事してもらいましょうか。

ツヴェルタ

それではまた
いつの日か会いましょう。































































































































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