リリィはドアを強くノックされている音で目覚めた。寝起きのぼんやりとした頭で、すぐに反応することができないでいた。すると、ドアの外から元気のいい声が聞こえてきた。
リリィはドアを強くノックされている音で目覚めた。寝起きのぼんやりとした頭で、すぐに反応することができないでいた。すると、ドアの外から元気のいい声が聞こえてきた。
おーい!起きてるー?
リリィは戸惑いながらも、なんとか声を出した。
お、起きて・・・ます・・・。
なんだよ、だったらそうと早く返事してくれよなー。
という声が聞こえると同時に、ドアが突然開けられそこからまだ少しあどけなさが残る青年が顔を出した。
よお!俺はショウ!よろしくな!
突然なんだけどさー、俺夜中から今までこの部屋の見張りしててさ、もう腹が減って仕方ないんだよ!でもここを離れるわけにはいかないからさ、一緒に食堂行こうぜ!
お前も何か食えばいいしさ、正直俺はお前が突然暴れだすような奴だとは思わないからさー。
あまりにも突然の出来事に、リリィは反応することができず、ただ目の前のことを呆然と眺めていることしかできなかった。そんなリリィの様子に気が付いたショウは、リリィの正面まで行くと顔を覗き込んだ。
ん?どうした?
リリィはショウが一歩一歩近づいてくるたびに、背筋が強張っていくのを感じた。
次第に足が震え、力を抜いてしまったら立つこともできなくなってしまうと思えるほどだった。
何とか立っていられているというそんな状態で、ショウから顔を覗き込まれた瞬間、全身から血の気がサッと引いた。
い、嫌・・・・・・・。
来ないで・・・・・ください。
なんとか口に出した言葉は、震えてうまく声にならなかった。
え?なになに?
声をうまく聞き取ることができずに、ショウはさらにリリィとの距離を近づける。
さらにショウとの距離が近づき、リリィの体から力が抜けていくのと、ショウが返事をしないリリィのことを不審に思って顔をあげたのがほぼ同時だった。
お、おい!?
ショウは膝から崩れ落ちていくリリィの両肩をとっさにつかむと、そのままゆっくりと床に座らせた。
どうした?大丈夫か?
軽くゆすってもリリィはまったく反応しないため、ショウはリリィの体をゆっくり横たえさせると素早くその部屋から飛び出した。
ショウが向かった先は別の船室だった。勢いよくそのドアを開くと、中に向かって声を張り上げた。。
ヒロ!今すぐ来てくれ、緊急事態なんだ。
ヒロと呼ばれた男は、ショウのただならぬ様子にすぐ立ち上がった。
ショウが先導して、二人はリリィの部屋に向かった。
急に倒れたんだ。俺じゃどうしようもできなくて・・・。
ヒロは何も言わずにリリィに近づいた。リリィの手首をとり脈をはかると、おもむろに抱え上げ布団に横たえさせた。
このままじゃ何とも言えないな。とりあえず目を覚ますまでこのまま安静にさせておいた方がいい。
あぁ、分かった。やっぱ、船医が言うと説得力が違うな。
おいおい、まだそれらしいこと何もしてないだろ。
んー、それでも安心感がちげーよ。
そうか?まぁ、何かあったらすぐに来いよ。
そういうと、ヒロは部屋から出て行った。