なるほど、お姉さんの家に泊まりに来た時はあの電車なんだー

 本日私は、ひょんなことから校内でも一、二を争う美男子と噂の、堀坂誠人と登校している。

で、ぼた子、なんで俺の隣歩いてんの?

えっ? 私も同じ学校に行くから?

馴れ馴れしいな。離れて歩けよ

えー! いきなり突き放すタイプ!

 そこへ別の男子が近づいてくる。

誠人、おはよー

おう。おはよ

 堀坂誠人の友達かな。
 そういえば前にぶつかった時、一緒にいたような。
 堀坂誠人と一緒にバンドをやってるって噂も聞いたことがある。

 てか私なんで堀坂誠人のこと、よく知ってるんだろ。
 今日初めて意識したぐらいなのに。

その子は?

ぼた子

ぼた? なにそれ

あずきって名前だから、ぼたもち女のぼた子

ぷっ、かわいいねー

ちょ、ひどくないですかっ!?

ははっ

(誠人が笑ったの、久々に見た……)

どうも、ぼた子ちゃん。僕は神原裕貴。ユウキって呼んでくれたらいいよ

西岡杏月です。杏月は『つ』に点々のあづきですっ!

ははっ、了解。でも誠人に女友達がいるなんて知らなかったよ

友達じゃねーし

しゅん……

まあまあ。誠人がそんな冷たい雰囲気出すから寄ってくる子みんな固くなっちゃうんだよ

(まあ、これだけ美形だったらみんな、自分を可愛く見せようとするか、緊張して話せないかだよね……)

うるせー

ほんとは子供っぽくて可愛いんだけどねー

……そんな感じはする

子供じゃねーし!

じゃあぼた子ちゃん、僕と友達になってよ?

 神原裕貴くんは私に向かって手を差し出した。


 じゃあって……脈絡なさすぎだけれど。

は、はあ……

 よくわからないけど、とりあえず握り返す私。

よろしくね

よろしくです……

……

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