お前、これ最後まで読んだのか?

えっ? うん、読んだよ? 好きすぎて今二週目

ふっ

なんでそこ鼻で笑うのっ!?

俺、三週目

ぶっ!

あははっ!!

おいっ! デカい声出すなって

 また周りの視線を集めてしまう私。
 やってしまった……。

あああっ、すみません……

だって、そんなとこで張り合うから

別に! 張り合ってねーよ

そう?

俺が勝っただけだ

意外と子供なんだねー

なっ! お前だって、ぼたもちみたいな名前しやがって!

あづきですー! あずきじゃなくって、『つ』に点々なんだから!

 あれ、なんで私の名前知ってんだろ。
 これも消した記憶の中にあるのかな。

ぼた子な

なにそれ、もしかして私のあだ名!?

ああ

えー! なんかやだよー! 可愛くない!

あはは

 彼は、手を額に当てながら笑った。

(ヤバい、この笑顔は殺傷能力高いわ……)

 その時、急ブレーキで電車が揺れた。

きゃっ

 倒れそうになった宮川くんが、小さい私に被さるようにドアに肘をついた。

(顔ちかっ……)

(じー)

 つか何でそんなまじまじ見てるの!?

私の頭に何かついてる……?

 すると恥ずかしそうに目線を逸らす彼。

や、べつに

 はう。
 顔が見れない……。

ぼた子

へ?

今日の明るいお前のほうが自然でいいな

えっ、ちょっ……

 恥ずい……。
 なんなんだこの人は。
 前に会った時、私はどんな顔してたって言うの。

そっちのお前なら、俺と会話してもいいぞ

 すっご!
 上から目線、すっご!

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