猫屋敷棗

あ、いた…
明日の雑誌のインタビューのことで、少しだけ相談してもいい?

猫屋敷棗

担当記者の人から送られてきたメールに、私がアイドルになったきっかけについて聞きたいって、書かれていたの 

猫屋敷棗

でも私の中には、その物語について語れる言葉が存在していないから、どうすればいいかと思って

猫屋敷棗

……あらすじだけかいつまんで話すの?

まず最初に、私の書いた物語のひとつが、とある出版社の新人賞をとって…

猫屋敷棗

授賞式で、編集長から現役女子大生小説家として大々的に売り出そうって言われて…

猫屋敷棗

せっかくだから、本を書くついでにアイドルやりましょうって言われ…

猫屋敷棗

えっ? 変? みんなこういう感じだと思ってた…

猫屋敷棗

でも…確かに最初のうちは戸惑ったけど、私、アイドルっていう手段を教えてくれた編集長には、とても感謝してる

猫屋敷棗

アイドルなんて私とは永遠に無関係な、虹や蜃気楼みたいに、キラキラしていても遠いものだって思いこんでいたけれど…

猫屋敷棗

私の内側からあふれ出て、小説の形では留めて置けなかった無数の言葉たちは、歌に変えられるんだって分かったから…

猫屋敷棗

……えっ? こんなお話でいいの?
ファンが聞きたいのはこういうこと…?
変なの……でも、わかった…

猫屋敷棗

そういえば、あなたというプロデューサーの物語が始まった日のこと…私、知らない

いつかあなたの言葉で教えてくれる…?

2|epi.2 アイドル猫屋敷棗 誕生秘話

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