ルーチェ・アルマ

随分としけった決闘場ですね

地下の最下層にあったのは大きな倉庫だった。
壁には大きな棚が2つ陳列されてあり、兜や小手がしまってある。
入口の近くの戸付きタンスの中には、おそらく下級騎士用の剣が入っているのだろう。

そして、隅の暗がりに招かれざる収納物・アッシェが座っていた。
どこからか持ってきたリンゴをかじっている。

アッシェ・エンブリョー

お前も食うか?

ルーチェ・アルマ

いえ、歯ぐきから血が出るらしいので結構です

アッシェ・エンブリョー

じじいかよ、お前は

アッシェ・エンブリョー

さて、追いかけてきたってことは、殺される覚悟があってきたんだよな?

ルーチェ・アルマ

まさか。あなたに殺されるほど僕は脆弱ではありません

ルーチェ・アルマ

それに、僕があなたの首を取ったって何にもなりませんから

アッシェ・エンブリョー

余裕ぶっこくのもその辺にしとけよ

アッシェ・エンブリョー

ケッテ・ドンナー

瞬間、倉庫内に電光が走った。
地面から雷の鎖がルーチェ目がけて伸びてくる。

ルーチェ・アルマ

・・・・・・っ!

すぐに身をひねってよける。
狙いがそれた鎖はルーチェのすぐ後ろの戸棚に激突する。

衝撃で零れ落ちた剣を即座に掴み取る。
広いとはいえ、倉庫の中だ。
長剣がどこまで役に立つかは分からないが。

アッシェ・エンブリョー

よそ見してんなよ!

そして、すぐに新たな鎖が放たれる。
電光を帯びた鎖は一直線にルーチェに向かって伸びていく。
しかし、ルーチェは剣でそれをはじく。
落とされた鎖が跡形もなく消える。

アッシェ・エンブリョー

まだまだ!

アッシェが同時に3本の鎖を放つ。
天井・地面・壁から3方向でルーチェを襲う。

ルーチェ・アルマ

なるほど、どうしても僕に魔法を使ってほしい様だ

ルーチェ・アルマ

スパーダ・オスクリタ

ルーチェの呪文と共に、剣が黒いオーラをまとう。
それを振り抜き、黒い斬撃をとばす。

直撃した鎖が全て真っ二つになる。
ルーチェが切っ先を前に向けるが――

アッシェ・エンブリョー

どこに向けてるんだ?

目の前には誰もいなかった。
その代わり、明らかにルーチェの背後から声が聞こえた。

状況を悟ったルーチェが振り向くよりも早く、アッシェが魔法を発動する。

アッシェ・エンブリョー

ズィーゲル・ドンナー

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