静寂が空間を支配する、光も届かない海の底。
生命の息吹すら感じないその領域に、神の住まう神殿はあった。

イサナ

世はおしなべてこともなし。退屈だのぅ

何か変わったことでも起きぬものかとうそぶくイサナに、嘆息混じりに釘をさすカムイ。

カムイ

……一応言っておきますけど、ご自身で何か起こそうとは思わないことです

イサナ

おおカムイよ! おぬしにそのように思われていたとは、儂は悲しいぞ……うっうっ

カムイ

はいはい、誰も見てませんから猫をかぶっても無駄ですよ。
それに貴女なら、面白いと思えば実際にやりかねませんからね

イサナ

ちっ、察しのいい奴め

内心舌打ちしながら、何事もなかったかのように欠伸をする。
今日も世界は平和だった。

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