修平

遅かったな。……そいつ誰だ

一階に下りた僕に気がついた修平がこちらを向いた。

エル

ぬ、ぬいぐるみがしゃべってるっ

優時

誰だっけ?

エル

エルだってっ

 修平に対するエルの反応がおかしいのかと感じるほど優時は特に反応もなくお昼ご飯を食べ始めている。

修平

ごちそうさま

優時

リクト、赤桃茶ー

リクト

気に入ってくれた?すぐ入れるから待ってて

修平

もう昼過ぎてるしそろそろ図書館行かないとな

 席を立つときにちらっと後ろを振り返ると、エルが自分を無視して話す僕達を恨めしそうにじっと見ていた。

エル

……はぁ、まぁ良いわ。
今日は様子を見に来ただけだし、そろそろ帰る

 すぐに諦めたようにため息をついて立ち上がった。

優時

おー、帰れ帰れ

エル

はいはい、またね

 背を向けるとき長い髪をひらりと揺らす姿はやっぱり綺麗で少しだけ見惚れてしまった。

修平

さて、行くか

 修平が立ち上がろうとしたことで椅子が音を立てた。

優時

なぁ、やっぱダルいから明日にしねぇ?

修平

しない。リクト、行くぞ

リクト

う、うん

 そっと修平を抱き上げて椅子から降ろすと、修平はその柔らかな足で外へ向かった

 店から出て真っ直ぐ右に進むと図書館はすぐに見えた。
 町の中心で、この国には一つしかないその図書館は王が住む城の次に大きい。
 

優時

でかいな……

リクト

神様がこれから沢山本が増えていくことになるだろうからって大きなものを建ててくださったんだよ!

修平

神様って、あの?

リクト

うん、日に一度は神様がお話を聞かせてくださるんだ

お前は昨日の……

 優時と話していると後ろから声をかけられた。
 振り返るとそこにいたのは、

リクト

優時の知り合い?

優時

リクトの知り合いじゃねぇの?じゃぁ誰だ

昨日の騒ぎを見ていた、

ただの傍観者だっ

 ぼうかんしゃ、意味はわからないけど知り合いじゃないことはわかった。

優時

あぁ、そう。リクト、行くぞ

リクト

え、良いの?

修平

知らない人に話しかけられたら無視

え……

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