俊之が絵美に交際を申し込んでから、
二日後の昼休み、絵美が俊之の教室にやって来た。

絵美

山ノ井君、ちょっといいかな!?

俊之

ああ。

俊之はクラスメイトに冷やかされながら、
絵美と一緒に廊下へ出て行く。

絵美と俊之は二日前と同じ、
廊下の柱の脇へ行って向かい合った。

絵美

この間の返事なんだけど、

俊之

うん。

絵美

これから、よろしくお願いします。

そう言うと、絵美は深々とお辞儀をした。

俊之も絵美に合わせる様に深々とお辞儀をする。

俊之

こちらこそ、よろしくお願いします。

そして安堵の笑顔で絵美を見つめながら言う。

俊之

良かった。

絵美

えへへ。

絵美は照れ笑いを浮かべた。

俊之

なぁ、今日、一緒に帰らない?

絵美

え!?

俊之

今日、俺、バイトがねーから。

絵美

山ノ井君、
アルバイトをしているの?

俊之

うん。
でも、今日は休みなんだ。

絵美

そうなんだ。
だから、山ノ井君、
いつも急いで帰っているんだ。

俊之

そそ。
バイトがある時は早くバイトへ行って、
早くバイトを終わらせないと、
それだけ家に帰るのも
遅くなっちゃうからね。

絵美

山ノ井君、偉いなー。

俊之

偉くなんかないよ。
ウチ、貧乏だからさ、自分の小遣いは
バイトをして稼がなきゃならないだけ。

絵美

偉いよー。

俊之

んで、どうなの!?

絵美

分かった。いいよ。

俊之

それで、
ちょっとウチで話をしよう。

絵美

え!?山ノ井君チに行くの!?

俊之

別に変な事はしねーから。

絵美

えー!?
変な事ってなーに?

俊之

その内、判るよ。

絵美

えーーー!?

俊之

とにかく、
色々と話をしたい事があるんだ。

絵美

うーん。
分かった。

俊之

んじゃ、放課後に川村の教室へ行くね。

絵美

うん。

そう言うと、絵美は自分の教室へ戻って行く。

俊之は教室に戻ると、
祝福と冷やかしの洪水に呑まれた。

エピソード2/二人の始まり

facebook twitter
pagetop