俊之が絵美に交際を申し込んでから、
二日後の昼休み、絵美が俊之の教室にやって来た。
俊之が絵美に交際を申し込んでから、
二日後の昼休み、絵美が俊之の教室にやって来た。
山ノ井君、ちょっといいかな!?
ああ。
俊之はクラスメイトに冷やかされながら、
絵美と一緒に廊下へ出て行く。
絵美と俊之は二日前と同じ、
廊下の柱の脇へ行って向かい合った。
この間の返事なんだけど、
うん。
これから、よろしくお願いします。
そう言うと、絵美は深々とお辞儀をした。
俊之も絵美に合わせる様に深々とお辞儀をする。
こちらこそ、よろしくお願いします。
そして安堵の笑顔で絵美を見つめながら言う。
良かった。
えへへ。
絵美は照れ笑いを浮かべた。
なぁ、今日、一緒に帰らない?
え!?
今日、俺、バイトがねーから。
山ノ井君、
アルバイトをしているの?
うん。
でも、今日は休みなんだ。
そうなんだ。
だから、山ノ井君、
いつも急いで帰っているんだ。
そそ。
バイトがある時は早くバイトへ行って、
早くバイトを終わらせないと、
それだけ家に帰るのも
遅くなっちゃうからね。
山ノ井君、偉いなー。
偉くなんかないよ。
ウチ、貧乏だからさ、自分の小遣いは
バイトをして稼がなきゃならないだけ。
偉いよー。
んで、どうなの!?
分かった。いいよ。
それで、
ちょっとウチで話をしよう。
え!?山ノ井君チに行くの!?
別に変な事はしねーから。
えー!?
変な事ってなーに?
その内、判るよ。
えーーー!?
とにかく、
色々と話をしたい事があるんだ。
うーん。
分かった。
んじゃ、放課後に川村の教室へ行くね。
うん。
そう言うと、絵美は自分の教室へ戻って行く。
俊之は教室に戻ると、
祝福と冷やかしの洪水に呑まれた。