十一月某日。この日を僕達は待ち望んでいた。そう、文化祭当日だ。今日、僕らの演劇はいよいよ上演される。
この一ヶ月、僕は役者たちの演技指導に追われた。僕自身は役者の経験がないから、本格的な指導はできない。だからあくまでも基礎的な部分だけを重点的に指導した。
相馬も自らの脚本を思い描いた通りのものにすべく、演出に力を入れていた。たくさんプロの演劇を観たおかげか、たくさんアイデアが浮かび、それが演出に組み込まれたようだ。
そして今日がいよいよ本番。午前の部と午後の部、二回の公演がある。果たして舞台は成功するのか。僕はずっと緊張していた。