私たちは山小屋を出た。
そこはひどく見晴らしが良かった。
私たちは山小屋を出た。
そこはひどく見晴らしが良かった。
リフトで反対側に下りると果樹園ね
果樹園に身を潜めるというのも選択肢のひとつだが
こっちの斜面を下ると市街地に出る
斜面を下るって……
雪上車で下るのよ
お姉さんは、市街地を眺めながらそう言った。
見て。車がまったく走ってないわ
ああ。それと、あそこに見えるのはきっと人の群れ……大量の痴女じゃない?
あそこって、まさか
自衛隊駐屯地だ
そんなぁ
おそらく、みんなもヘリで逃げようとして、駐屯地に集まったのね。で、誰かが痴女になってしまった
その痴女を端緒として、連鎖爆発的に広がった
そして自衛隊駐屯地は、痴女の巣窟になった
………………
私たちは言葉を失った。
で、どうする?
……どの道、痴女は始末しなければならないわ
!? ヤツらの巣を叩くの?
ええ
おもしろい
ふふっ、これ以上増えないうちにやりましょう
ふたりとも、ありがとう
CIAのお姉さんは、噛みしめるようにうなずいた。
それから私たちを見ながら、やさしくこう言った。
ねえ、みんな。私たちはこれから自衛隊駐屯地に突入する。痴女を倒しながら突き進み、可能性は低いのだけれども、ヘリか輸送機を手に入れる。そして、痴女の掃討が一段落したらその機で脱出するつもり
はっ、はい
でね、ここまで連れてきておいて、こんなことを言うのは無責任だと思うのだけれども――。あなたたちには、これからのことを自分たちで決めて欲しいの
それは?
あなたたちの選択肢は2つ。1つは、果樹園に身を潜めること
もう1つは?
雪上車に乗って、私たちと駐屯地に突入する
…………
…………
…………
ごめんね。急かすつもりはないんだけど、あまり時間がないの
はい
私たちは、ぺこりと頭を下げた。
それからお互いの顔を見合わせた。
………………
…………
……
うん
いいよ
それしかないよね
決まった?
はい
私たちは、大きくうなずいた。
いっせいにダッシュして、雪上車に飛び乗った。
ROUND3
サーフィン・ウィズ・
ザ・チジョ
私たちを乗せた雪上車は、山の斜面を滑走した。
このまま駐屯地まで突っ走るわよッ!
突っ走るというか、滑り落ちてるというか……
あっ、痴女だ!?
痴女がスノボで滑ってる!?
気をつけて!!
危ない!
ふう、すべて追い越したわよ
!?
なにか後ろからくる!!
もう、なんで追いつくのぉ!?
ローションでぬるぬるだからだ!
そんなあ……
あはぁん
横に並ばれたっ
気をつけて!
寒くないのかな?
いつきがそれ言う?
なによお
だって、はいてないじゃん
あはは
もう!
こらっ、ふざけないの!
危ない! 寄せてきたぞ!!
うふぅん
………………
とっとと逝きな、ベイビー
きゃあぁぁあああ――――!!!!!
えっ、えぇ――!?
いきなり撃っちゃうの!?
そんなあ。……だったら、初めからそうすればよかったのに
そんなことなら私、痴女の演技をしたり、服を脱がされたりする必要なかったよね。
そう思って、お姉さんを見た。
するとお姉さんは、バチッとウインクを決めた。
アクセルを思いっきり踏んで、それからこう言った。
だって、銃声で痴女が集まっちゃうでしょう。……たぶん
というわけで、私たちを乗せた雪上車は、市街地に下りるとそのまま疾駆し、痴女を蹴散らしながらも駐屯地に直行するのだった。――
フライドポテトの姉貴ィ!
一生着いていきます!