君は世界に一人しかいないのだから、君は生まれた瞬間から特別だ

などと言われて嬉しいものだろうか?

え、そうなんじゃない?
すっごい人気になった歌にもそんなような歌詞があったしさ。

いや、私もそれが間違っていると言いたいわけではないんだ。ナンバーワンにだけ意味があるとは思わない。オリジナリティにこそアイデンティティを見出すべきだというのは、ナンバーワン以外を除いた全ての人間の心を救う素晴らしい言葉なのだろう。

だんだん話が大きくなってきた気がする。
話に付いていけるように頑張るね!

それほど難しい話ではない。
つまるところ、それではナンバーワンを目指して努力している人間がバカみたいではないかという話だ。
例えば、世界で一番速く走れる人間は、世界にたった一人しかいない。それってつまりオンリーワンである証明だろう?

まぁ、確かに。
その人の代わりに同じ速さで走ってって言われても、それは誰にもできないもんね。

そう、つまりはナンバーワンも立派なオンリーワンだということだ。
それを達成せんがために血反吐を吐くほどの努力をしたというのに、『人は皆オンリーワン』という言葉で、努力をしていない人間と横並びで評価されるのは可哀相ではないか?

そっか。
確かにそうだよね。頑張った人間は、頑張った分だけの評価を受けるべきだよね。

そうだ。
つまり私が言いたいのはそういうことだ。
オンリーワンなどという言葉で誤魔化さずに、ナンバーワンになるための日々の研鑽を、弛まぬ努力をしっかりと褒めるべきだと言いたかったんだ。

そうだね!
わかった、そういう努力を見つけたら、僕もちゃんと褒めていくね!

……。

ほら、まだか?早くし褒めてくれ、褒めそやしてくれ、そして撫でろ。

何で!?何を褒めればいいの!?

まったく相変わらず君は何も見えていないのだな。
毎日君にとって一番魅力的な女性であろうと研鑽を積んでいる私を褒めてくれとお願いしているんだ。

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