犬がにんげんに優しく語り掛けます。
にんげんは何やら花畑の中心でうなりながら眠っています。
にんげん、にんげん。
犬がにんげんに優しく語り掛けます。
にんげんは何やら花畑の中心でうなりながら眠っています。
にんげん、起きろ。
ぺろりと犬がにんげんの顔を舐めます。
そこまでされるとさしもの眠り魔のにんげんも目を覚まします。
おふぁよいぬぅ……やなゆめみた。
起きるなり顔を舐めるために鼻先を寄せていた犬に人間がしがみつきます。
どんな夢だ?
顔もべとべとのままで思い切りこすりつけてくるにんげんに犬はしっとりと聞きました。
あのね、犬と喧嘩しちゃうの。
ふむ。俺とにんげんが喧嘩を?なんでまた。
最初はかけっこしてたんだけどね、なんか走ってるうちにどかーんばーんどーんって体当たりしてた。
適当な擬音で話すにんげんに、犬は言い聞かせるように言いました。
にんげん、それは喧嘩だったのか?
え?
にんげんはよく俺にしがみついてくるだろう。
夢の中で俺と追いかけっこできる力で抱き着いたら体当たりにならないか?
おー……。
感心したように口と目を開けて納得したにんげんはさらに強く犬の鼻先にしがみつきました。
喧嘩じゃないんだ!よかった!よかった!
ああ、よかったなにんげん。
犬はにんげんをぺしゃんこにしないように慎重に肉球でにんげんの頭をてふてふしましたとさ。