マスカポーネ
イタリア原産のクリームチーズ。日本ではティラミスの原料として有名になったらしい。
死ぬほど女っ気のない作者ピッツアだが、
唯一の女友達といえる人物がいる。
アヘヘ
彼女の名はマスカポーネちゃん。
同い年のセミプロ漫画家である。
愛と死をテーマにしたエロマンガと
不実でいつも悲しい結末を迎える儚い恋に
命を燃やし続けている。
マスカちゃんとの出会いは遡る事8年前。
某SNSの山本直樹のコミュニティで
知り合ったのがきっかけで
自分はコンクール出品用の脚本を
彼女は投稿用のマンガを
互いに送って読み合う仲になった。
彼女はH大学そばの
家賃月3万円で1Rアパートに
飼い猫と一緒に住み
障害者年金と実家からの仕送りを貰いながら
定職はおろか一切アルバイトもせず
マンガを一日10時間描くという
かなり特異な生活を
かれこれ10年以上続けている。
なぜそうなったか。
簡単に経緯を説明すると
大学在学中に同棲していた
人生初めての彼氏が
万引きの常習犯であった事が
きっかけで思いつめたマスカちゃんは
二階のベランダからダイブして足を骨折。
それからはじまった情緒不安定や
摂食障害が両親に重く受け止められ
泣く泣く精神病院にぶち込まれる。
そこで他の患者と青姦しまくるなど
自由奔放で濃く歪んだ性癖と
精神世界が形成される。
退院&退学後は
元のアパートで独り暮らしを始める。
在学中に漫画賞を獲った時の
画力の10分の一以下にまで腕は低下していたが
行きつけのゲーセンのお兄さんへの恋心を
支えにリハビリとしての
マンガ執筆活動を再開する。
この頃にピッツアとマスカちゃんは出会う。
その時は広田レオナをさらに不健康に
ガリガリにした感じの外見で
アヘヘ
とワケの分からない方向を見ながら
笑うのがエロスというよりは
不気味で底知れぬ不安を誘った。
それでもマスカちゃんの自宅で
成り行き(を装って)のHをした後に
天井を向きながら指折り数えて
あー、これで15本抜きか
と呟かれた。
当時まだ闘病中の彼女には
思った事を心に留めておく
という手段が皆無だったようだ。
サッカーのドリブル記録のように
例えられたショックよりも
道理でいろんな男にヤリ捨てられるわけだ
という感心の方が上回った。
まあ、俺もそれぐらいに思ってくれてた方が都合がいいや
くらいにその時は思っていたのだが
それからのちも
痴漢ストーカーに自宅までつけられて
警察沙汰になったり
SNSで知り合った他県の男に
ヤリ捨てされたショックで
リストカットした画像をSNSに流して
あわやの惨事になったり
不倫愛を貫こうとしたサラリーマンに
フラれた腹いせに睡眠薬を大量摂取して
死にかけたりと
加護ちゃん顔負けのお騒がせを
大体年一ペースでずっと貫いてきている。
しかもその失恋の詳細を
赤裸々にSNSの日記にアップして
みんなの応援コメントを心の支えに
前向きに生き恥を晒しながら生きている。
他のSNSでも
最近の性欲不振や何でマスカいたかを呟くなど
いつ通報されてもおかしくない
ゴシップガールぶりがコアなファンや友達を
引きつける魅力なのだろう。
そんな泥沼私生活と反比例するように
執筆活動では
ダッチワイフに恋する青年という話で
今は無きサブカル系エロマンガ誌の
新人グランプリを獲ったり
あなたに迷惑をかけるつもりはないんだけど、こうでもしないと私はあなたの永遠になれないから。
ごめんね。
愛って本当に痛いよね。
アヘヘ
どこかの青年誌で痛々しいラブストーリーの
読み切り連載を実現させた。
最近ではハプニングバーでの
乱痴気騒ぎの実体験を
マンガにしたムック本が
コンビニで発売されたりなど
毎年着実にキャリアを積んでいる。
プロの漫画家になりたい。
その一心だけでマスカちゃんは
10年の歳月をかけてクソみたいに
貧弱なマンガの線一本一本をしっかり
力強く描けるようになり
重度のメンヘラ少女から
メルヘン女子へと
V字回復を果たした。
アヘヘ
と意味もなく笑わなくなったのが
何よりの証拠だ。
ただそれにしても
一向に
ボキャ貧と社会性の欠落は治らないのだが。
因みに僕はというと
彼女がよく自分の作品に
イラストやメッセージをつけて
送り返してくれたものは殆ど落選するし
実際本人に会った直後の
パチスロの勝率は0%であるし
恋バナを聞かされた晩は
謎の嘔吐に襲われる。
マスカちゃんは紛れもなく生粋の下げマンである。
社会的見地からいうと
無職で彼氏なしで
親の扶養から抜けてない
31歳のハイレベル非リア充だろう。
しかし
仲間の自分には
マスカちゃんの恋(に届かないセックス)
とマンガに毎日120%命をつぎ込み
猛ダッシュで現実逃避し続けるその姿は
ウルトラリア充モンスターとして
精気に満ち満ちて映る。
実に誇らしい気の毒な仲間だ。
ただ背番号15のベンチ温めてる
補欠の独身が言うのは
非常におこがましいのだが
ひとつ断っておく。
マスカちゃんと付き合う事だけは絶対にあり得ない。
La Fine