座長が機嫌良さそうにしていたのは、
その『お仕事』が関係しているんだろうなぁ。
――どういった内容なんだろう?
座長が機嫌良さそうにしていたのは、
その『お仕事』が関係しているんだろうなぁ。
――どういった内容なんだろう?
大きな仕事って何だ?
この国のお偉いさんが
俺たちの興行の評判を
聞いたらしくてな、
屋敷で披露してほしいんだとよ。
ふーん、お偉いさんねぇ……。
ギャラがいいだけじゃなく、
豪華な食事付きだ。
ギルド長に呼ばれたのは、
その仕事の依頼だったんだよ。
受けたんですか?
もちろんだ。
断る理由もないからな。
何か問題でもあるか?
いえ、私は構いませんけど。
みんなだって、ねぇ?
私がみんなの方を向いて問いかけると、
アルベルトとアランは小さく頷いた。
それはそうだよね。
そんなにいい条件のお仕事なら大歓迎だもん。
興行は明日の夜、
場所は町の中心部にある
王族のお屋敷だ。
えっ? 依頼してきたのって
王族なんですか?
まぁな。
ただし、庶出の末っ子王子だ。
王位継承権も第8位。
8位……。
随分と兄弟が多いな。
上に男子が5人、女子が2人だ。
でも王族なら
正室のほかに側室もいるんだろうから、
兄弟がたくさんいても
普通かなぁと思ったりもするけど。
実際のところはどうなのかな……?
庶出の第8位じゃ、
天地がひっくり返っても
王様にはなることはないな。
だろうな。
しかも庶出ってことで
蔑視している兄弟もいるようだ。
その取り巻き連中が手を回して、
国の仕事を何ひとつ
させないようにしているらしい。
だから屋敷で
静かに過ごす日々なんだとよ。
何もしないで暮らせるなんて、
羨ましいヤツだな。
でもそれはそれで
ちょっと可哀想かも……。
依頼主の家の者から
すでに前金をもらっている。
だから今日は
豪勢にやっていいぞっ!
コイツを見てみろ。
座長は懐から小さな袋を取り出した。
その中に入っていたのは金貨。
しかも結構な数が入っている。
これが前金だとすると、
依頼料の総額は相当な額になるはず……。
っ!
マジかっ!?
ス、ステーキを頼んでもいいかっ?
アランは瞳をキラキラさせながら
座長に問いかけた。
すると座長は満面に笑みを浮かべて頷く。
おうっ、頼め頼め!
だが、明日もお屋敷で
上等な肉が食えるんじゃねぇのか?
いいんだよっ、
今日も明日も食ったって!
おねえさーん、
ステーキをお願いしまーす!
姉ちゃん、
ついでにワインも
持ってきてくれや!
はーいっ!
……もう、座長。
羽目を外しすぎないでくださいよ?
二日酔いで
明日の興行ができなくなっても
知りませんからね?
私は一応、釘を刺しておいた。
――でもあまり強くは言っていない。
だって私も大好きなスイーツを
たくさん注文したかったから……。
次回へ続く……。