いのししってさ、乱暴だよね!

怒って頬を膨らませるにんげんに犬が問いかけます。

またぶつかられたのか?

うん。友達になろうよーっていったのにどーん!って。
どーん!って。

にんげんに自覚はありませんが、お母さんの乳でそだったにんげんは非常に頑丈です。
でも軽いのでいのししに体当たりをされると派手に転んで髪が葉っぱまみれになったり体が泥だらけになったりしてしまうのです。

にんげん。ひとつ言っておかないといけないことがある。

なあに?

不思議そうに首をかしげるにんげんに、犬は告げました。

普通の、怪物じゃないいのししには俺たちの言葉は通じないぞ。

え、ええーーーーーーーーー!

にんげんの顔が驚愕に染まります。
そう、にんげんは今まで森の生き物とは全部会話が通じると思っていたのです。

あいつらの言葉……鳴き声、何を言っているかわからないだろう?
あいつらにも俺達の鳴き声である言葉はわからないんだ。
そういうふうにできてる。

そっかぁ……残念だなぁ。
残念だなぁ。

本当に残念そうに、しょんぼりしてしまったにんげんの頬を犬は舐め続けました。
にんげんのしょんぼりが治るまで。

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