さあ、シェミーの部屋の前までやって来たのだが

なんと声をかけようか。

あら、誰かいるのかしら。

先ほどの動揺しきった彼女はそこにはいなかった。

さっき飯食ってませんよね。
あなたの分をもってきました。

やはり、妙に緊張する。

まるで魔力に凍らさせてるような。

まあ、ありがとう。
 あなた が来てくれると思ってたわ。
せっかくだし、中におはりになって。

明らかに様子がおかしい。

だが、断る理由はない。

さあ、そこの椅子に座って。

促された通りに座る。

拒否する理由はない。

ああ、そのはずだ。しかし違和感がある。

けれど、彼女に従っていれば消えるだろう。

あなたにチャームの魔術をかけてよかったわ。
こんなにあっさりかかって下さるんだもん。

俺は魔術をかけられていたらしい。

なんと光栄なことか。

これは 光栄 なのか。

いやきっと光栄なのだ。

魔術とはなんだろうか。

まあどうでもいい。

ああ、なんてかわいそうな人なのかしら。
これから起こることを知らずに死ぬなんて。
ああ、なんと哀れなの。

彼女は微笑みながらそう呟いている。

一瞬、身の危険を感じたが

なにも恐れる必要はないのだ。

では、あなたの魔力いただきますね。

彼女は満面の笑顔でそういった。

ふせなさい、ジャップ!!

その時だ。

周りが劫火に包まれた。

俺は後ろから引っ張られるように

部屋の外に出た。

不思議にも部屋の外では火の手はなかった。

はやくこっちへ走りなさい!
死ぬわよ!

彼女はそう言うとすぐに走り出した。

俺は言われるがままに走った。

思考が追いついていないのだ。

  

長さってどれくらいがいいのでしょうか。
続いたら

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