そこですかさず僕は言う。
もう一度その黒魔術を使って、存在を返してって願えばいいんじゃないんですか?
あの魔術は人生に一度きりしか使えないの
じゃあ、他の人に願ってもらえば?
そうすると、その人に呪いが移るだけで、何も解決にならないわ。それにそんな事をしてくれるような関係の人を、作ることすら許されない
あっ、十二時間会わないだけで忘れられてしまうからか……
むしろ村で暮らせばいいんじゃないんですか? 毎日会えば忘れないのでしたら
十二時間というのは本当に短いの
そう……ですわよね。一緒に暮らしたりしない限りは、ほとんど寝て次の日会う頃には……
忘れられるというのは辛いことだよね
ええ、結局は自分が傷つきたくないのよ。人と関わるのが怖いの
じゃあさ、一緒に暮らしませんか!?
拓雄さん、プロポーズ!?
いやいや、そうじゃなくて!
ずっと傍にいれば、忘れないんだよね! うちのパーティに入りなよ!
パーリーじゃなくてギルドね。まあ確かに最近うちは十二時間も離れる事がないぐらい一緒だけれど
ありがとう。でも、今の私なんか何の役にも立たないわ
そこですかさず僕は言う。
強さじゃないんですよ、仲間は!
……拓雄さん
いやあ、そう言った奴がいてさ、僕の友達なんだけど
ほんと、シンなら歓迎してくれるわ!
ですが……
シェリーはマリの手を取る。
一緒に、エメを助けに行きましょ!
クレアさんもいるし!
……
……わかったわ。迷惑かけるかもしれないけれど
よろしくお願いいたします
陰の中で暮らしてきたマリを、僕らは連れ出す。
光の射すほうへ。