ノガミ

まずはお前から殺っちゃおうかなぁ


そう言いながら金髪は倒れているハルトに馬乗りになった。

ハルトは身を捩ってもがくが両手両足を束縛されていては逃れることができない。




ノガミ

さっきはよくもボクを殴ってくれたな、結構痛かったよぉ



金髪は「しゅー、しゅー」と奇声を上げながらハルトの顔面を両方の拳で幾度も殴打した。






ハルトの目の周囲がたちまち腫れ上がる。

ノガミ

すっごく楽しいよ……

金髪の少年、名前はノガミという。

ノガミは今、大麻の酔いとハルトを殴る暴力行為でとろけるような恍惚感を味わっていた。


アルコール依存症だった父親に日常的に受け続けた暴力、預けられた児童養護施設の牧師に強要された性行為、少年鑑別所の職員による想像を越えた虐待の数々。周囲の大人たちから受け続けた嵐のような暴力によってノガミの人格は徐々に荒廃していった。



激しい暴力に晒され続けたノガミはいつしか自分より弱い者に暴力を振るうことで精神の平衡性を取り戻すことを覚えた。それは不毛な暴力の連鎖であった。




ノガミ

さあ、いい加減殴るのも飽きちゃったから、とどめといこうかな


ノガミは、腰ベルトに装着してある皮製の鞘からナイフを抜いた。

そしてニヤリと笑うと

ノガミ

ぶっ殺してやる!



ノガミはハルトの喉元に
狙いをつけナイフを
振り上げた。




その時、いつの間にかノガミの背後に回り込んでいたマスターがその拘束された両足でノガミの無防備な背中を蹴った。

不意を突かれてノガミは、崩れ落ちた。

その拍子でナイフはノガミの手から離れた。





ハルトは跳ね起きてノガミに上半身だけを使って肩からタックルをしかけた。

ノガミはバランスを崩し仰向けに転倒した。


壁を利用して素早く中腰になるとハルトはノガミの首を足枷で拘束された両足でまたいだ。



ハルトが中腰のまま壁に頭をつけて拘束され不自由な身体を安定させると足枷の鎖が、ノガミの喉を締めつける形になった。

ノガミ

ぐぉぉ


ノガミはもがいたが、そのせいでさらに鎖は喉に食い込んだ。




マスター

いいぞ! ハル、離すなよ



ノガミの体に背中からにじり寄るとマスターは、後ろ手に拘束された両手でノガミのジャケットのポケットをまさぐった。

マスター

よーし、あったぞ!



マスターは、ノガミのポケットから手錠と足枷の鍵を取り出した。


マスターは急いで、手足の拘束を解いた。




マスター

もういいぞ、離してやれよ



マスターは、痺れた両手を振りながらハルトにいった。




ハルトはまだ全体重をかけてノガミの首を絞め続けている。


小さく唸り声を発しながらノガミを睨みつけるハルト、その顔は、まるで鬼の形相であった。

マスター

ハル、お前…… いったいどうしちまったんだ


ノガミの首を執拗に締め上げる表情にマスターは今まで見たことのないハルトの残忍性を感じていた。


強烈に喉元を締め付けられてノガミの舌は飛び出し顔は鬱血していた。

ハルト

!!

ノガミ

……



ノガミの頸部大動脈と気管は圧迫され窒息状態にあり、酸欠で顔は紫色になり口から泡の混じった涎を流している。


失禁で濡れた迷彩柄のミリタリーパンツ越しにもノガミのペニスが屹立してるのが見て取れた。

マスター

ハル! いい加減にしろ! そのガキ殺すつもりか!






そういいながらマスターはハルトの身体を後ろから抱きかかえ、静かにノガミから離した。



ハルトは呆然としたままマスターに身体を預けている。

マスター

大丈夫か、ひどく殴られたな



マスターは、ハルトの手錠を外しながら優しくいった。




ハルト

…………



ハルトは興奮から醒め放心状態である。

ノガミは、完全に気を失ってる様子で、それははまだ幼い子供の寝顔のようであった。





マスターはノガミの腰からナイフのケースを剥ぎ取って落ちていたナイフを収めると自分のベルトに装着した。



ノガミの両手を手錠で拘束して再度ポケットを探るとこの施設の元の所有者だった教団の経義本が出てきた。



マスター

例の殺人教団の経典じゃねえか、そういえばさっきグルがどうしたとか、ポアするだとか言ってたな

マスター

こいつ、これ読んで洗脳されちまったのかな……


パラパラと経典をめくりながらマスターはいった。

マスター

ってことは、ここは高和山か……






ハルト

うっ!



その時突然ハルトが頭を押さえてしゃがみこんだ。

マスター

どうした! ハル!




ハルト

頭が…… 痛い……



いきなり頭が割れそうな激痛がハルトを襲った。


その強烈な痛みでハルトは立っていることができなかった。

マスター

大丈夫か! ハル!








頭を抱えて床にのたうちながらハルトは何度も意識が遠のきそうになるのを必死でこらえた。



頭の中でバンバンと破裂音がした。



脳の中で数万ボルトの電流がショートして火花を散らしているような激痛だった。

30 お前から殺っちゃおうかなぁ

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