あくまでお前は俺の邪魔をすると言うのだな

そうだ

仕方ない…。相手してやろう

！？

速い…！避けられない！

…くっ！

どうした？口ほどにもないな

…うるさい

高円寺…

彼がスルトウに勝つ確率は限りなくゼロに近い…

なぜなら…

高円寺くん！

え？

…博士！ナミコさん！

あれ？背中になんか背負ってる…

あなたが本間博士ですか…

え？あ、はい…。どちら様…？

私の名はコロック。あなたが背負っている、その扉の向こうの住人です

！？

扉の向こうの…？

なぜ扉の向こうの住人がこちら側に…？

なぜ扉を背中に背負って…？

博士。コロックさんに向こうの世界のことを聞けば仮説の実証が…

うーん…。そうだけど、今そんな場合じゃ

そうです。高円寺を助けなければ

うおおおお

鈍い！鈍すぎる！
遊び相手にもならん

はあ…はあ……

お前ごときでは俺に指一本触れることは出来ない！

うるせえ…！

高円寺くんは強いです。

…私ほどじゃないですが。
きっとあんな化け物すぐに

私ほどじゃない…？

いや強さの問題ではないのです…

あっ！そういえば！

夜道に迷ったとき、高円寺さんが私を助けてくれたことが…

ほう。それは一体

私の服が破けて戦闘不能に陥ったとき、高円寺さんが覚醒したんです

服が破けた…！！？

覚醒したのか…。そのきっかけは

きっと『糖狂！バナ

それはきっと
『裸のナミコくん』を見たからさ！

ということでナミコくん！
早く服を脱い…

痛い…気持ちいい…

博士。ふざけてる場合じゃないですよ…

『ハダカの美奈子』みたいな言い方しないで下さい

怒るところ、そこ？

『糖狂！バナナ』ですよ！あれを食べた瞬間、高円寺さんが覚醒したんです

『糖狂！バナナ』？

『糖狂！バナナ』なんていつ食べたのさ？

高円寺さんがお土産に買ってきて下さったんですけど、博士には内緒で…

食べたの？

食べました

かなC

そんなことはどうでもいい。その『糖狂！バナナ』とやらを、早く高円寺に

そうですね。私買ってきます

頼んだぞ、ナミコくん

はい！

…

…

…コロックさん

なんでしょう、本間博士

あなたは扉の向こうから来た、異世界の住人ですよね

いかにも

今、あなたはこちら側にいる。

…おかしくはないですか

…

こちら側の住人はこちら側でしか生きられない。あちら側の住人もしかり

だが、何事にも例外はある。

真の能力者は扉の向こうへ行くことができる。高円寺くんがそうであったように

…

しかし、扉の向こうの住人がこちら側で活動するにはひとつ、条件がある

依代だ

こちら側の世界の物質を依代とし、それを乗っ取ることでしか、あなた達はこちらの世界に来ることは出来ない

そうだ。流石は本間博士。研究に抜かりはないな

スルトウは新川シンを依代とした。人間、それも超能力者という最高級の依代。

だからこそ、奴の身体は、人間の容姿をしている

…

私の研究所の周りにいるモンスターたち。奴らは形容しがたい禍々しい見た目をしているが、それは無生物や弱い生き物を依代としているからだ

しかし、あなたは人間の容姿をしている…

すなわち、あなたも人間を“依代”としているということだ！

…

人間を依代にするような異世界の住人を私は信用できない

…それはもっともなことだ

あなたは一体、誰を…

博士！『糖狂！バナナ』買ってきました！

…でかした

それを高円寺に

わかりました！

はやく！！

過剰包装が邪魔で…

取り出せました！

よし！
…高円寺くん！

え？

これを！

これは…『糖狂！バナナ』！

それを食べるんだ！

そうか！あの時の

※第7話参照

なんだそれは？何をしたところで、お前は俺に触れることすらできん

それはどうかな？

いただきます！！

…

何も起きないが…

いえ、よく見てください！

！？

高円寺くんの周りに湯気のようなものが…

力が…みなぎる……

博士！ナミコさん！コロック！伏せて！

え？

！？

なんという衝撃！

これが高円寺の秘められし力…

…

…なかなか…やるな…

やった！

これなら勝てますね！

…

参ったか、スルトウ！

…

はははははは！

お前はアホだな

！？

大切な友達の身体、傷つけて楽しいか？

はっ…！

！？

そうか…。
容姿が違うとはいえ、ベースとなっている依代はシンの身体…。

スルトウを攻撃することは、すなわちシンの身体を傷つけること…

…そう。だから、いくら高円寺の力が強くても、彼はスルトウに勝つことは出来ない。スルトウを倒す、それはシンを殺すことと同義だ

それを知った今、高円寺にスルトウを倒せるはずがない

高円寺さん…

くそ…。どうすれば…

シン…。必ず助けるからな…