わんわんわん。

にんげんが森の中をわんわん歌いながら歩きます。
その後ろにはもちろん犬の姿が。

その「わんわんわん」ってなんだにんげん。

にんげんの不思議な歌に犬が問いかけます。
するとにんげんは振り返り、犬に向かって小ぶりな胸を張って答えました。

あのね、お母さんが教えてくれたの!
森の外の世界の犬は「わんわん!」っていうんだって。

そうなのか?

普段は犬に教えられてばかりのにんげんは、犬にものを教えられて興奮しているのかはしゃぎながらつづけます。

あのね、外の犬は「わんわん」だけで全部通じるって!
すごいよね、外の犬!

そうだな、すごいな。
わん。

んう?

不意に投げかけられた犬からのわんににんげんはきょとんとしました。
そんな人間を犬は優しくひとなめして言います。

にんげんが好きだって言ったんだぞ。

すごい!外の犬には今のでわかるんだよね!外の犬すごい!あとね!

ひと呼吸、それだけおいてにんげんは思い切り犬の自分の体より太い脚にしがみつきます。

私も犬だいすき!

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