犬は色とりどりの木の実がなる茂みの前で背中の上のにんげんに問います。
にんげん、木の実を食べるか?
犬は色とりどりの木の実がなる茂みの前で背中の上のにんげんに問います。
甘いのがいいなー。
のんびり答えたにんげんを、犬はそっと腹ばいになって頭を下げ、滑り台のように背中から下ろしてあげました。
もうどれが甘いかはわかってるな?
うん!大丈夫!
にんげんは茂みの中から赤い実の丸い木の実を選び取ると、そのまましゃくりと噛み締めます。
甘い!
実をかじってしゃくりと噛み締めたにんげんは犬にむけてぱあっと笑顔になる。
ふむ。うまそうだな。
いぬも、んぐ、たべう?
しゃくしゃくかじりながら問うにんげんに対して犬は首を横に振ります。
俺はいい。それより……しゃべるのは食べてから、な。
んっんん……うん!
輝くにんげんの笑顔、それが犬にとっての果物です。