ざあざあざあと雨が降る。
雨の中犬は体を丸めてその中ににんげんを抱え込む。

にんげん。寒くはないか。

だいじょーぶ。

四足を交差するように丸めた中に包まれたにんげんはふかふかの毛並みの中でにんげんは温もる。

あったかいよぅ……。

柔らかく体を包む暖かい毛皮の中、雨雲で陽の光は隠れたうえに視界も犬の黒い毛に覆われているにんげんを眠気が襲います。

にんげん。眠いなら寝ていいぞ。

やー……ふかふかするー……。

無理するな。

犬はすぴ、すぴと鼻を鳴らしながら体を小さく揺すります。
それは天然の揺り篭。
心地の良い、嗅ぎなれた犬の安心できる匂いにつつまれてにんげんは抵抗むなしく意識をちらしていきます。

ぁーぅー……くー……。

……お休みにんげん。また明日。

犬は体を揺すり続ける。その動きは毛並みの表面を走る雨が染み込む前に揺すり落とす動きになります。
ゆらゆら、ゆらゆら、にんげんと犬は仲良く揺れてざあざあぶりの中を過ごします。
明日は晴れるといいですね。

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