やっぱり変か……私が生徒会長やるなんて
あれー? あそこにいるの茜じゃない?
ホントだ
ん……ぁ
深雪ちゃん……風子ちゃん……
まーた、しょげた顔で歩いてんのね
変わんないね
そ、そう?
そういや南校の奴から聞いたんだけどー、茜って今生徒会長なんだって?
あ……うん
この鈍くさい茜がね
腹抱えて笑っちゃった
ま、まあ変だよね。私が生徒会長なんて
うん、変
よくやる気になったねーって感じ
部活とか入ってないの?
私は、部活とか合わないって分かったから
言えてる
ま、茜らしいって感じ
そう……だよね
じゃ、私たち行くから
うん……バイバイ
やっぱり変か……私が生徒会長やるなんて
で、でも私はあの頃とは違うし……
仕事だってちゃんとこなせているし……
あいつだって肯定してくれたし。
だから、大丈夫だし……
お、鈴石じゃないか
先生!?
どうした? 昼休みにも生徒会室に来るなんて
あ、ちょっと……やっておきたい作業があって
ほぅ。仕事熱心じゃないか
ま、まあ……生徒会長ですから
なるほどな。だが仕事熱心なところに言うのもなんだが、これをちょっと見ろ
一昨日完成させた体験入学用の学校紹介パンフレット……ですね
これな、一応先生たちに回し見てもらったんだが苦情が出てな
え……
部活動のページ
これが、何か?
分からんか?
分かりませんけど……
部活動にはな、生徒の数に偏りがある
一番人数の多い吹奏楽部と一番少ない写真部のスペースを同じ大きさにしてどうする
集めたい生徒の数だって違ってくるんだぞ
で、でも……
写真部はこの冊子作りに一番貢献してくれていて……他の人数が少ない部活動だって一生懸命活動しているのは一緒で
分かりました、作り直します
いや、その必要はない
え
あとは先生が手直ししておく。今回は注意だけだ。他の奴にも伝えておけ
…………はい
それと、全校清掃活動の後のゴミ袋が学外に置きっぱなしで、それがカラスに穴をあけられ散らばっていたと苦情が来た
近隣住民との仲が悪くなったら南校は終わりだ。分かってるんだろうな?
……それは、生徒会関係なくない?
はい
あとは、夏休み明けの体育祭の企画を早いうちに進めておくように
生徒に決めてもらう事柄があるなら、どう意見をとるのかを決めて報告することな
これが去年の資料と記入用紙だ
…………
じゃあよろしくな、生徒会長
…………はい
…………
…………
…………
何?
いや、だってなんか酷くないですか?
別にー、あの先生が理不尽なことっていつものことだし
とにかく、終わったことはおいといて、体育祭の企画を進めよう
強いですね、生徒会長殿は
ま、伊達に生徒会長やってないってことで
まー、プラスに考えればいいですよね
めんどくさい編集作業は先生が全部承ってくれたってことで
……うん
鈴石先輩……?
…………
そうだね、プラスに考えよう
本当は一番嫌だったんだけどね
自分が一番得意だと思っていたことを否定されたら
何に自信を持てばいい……?
にしても体育祭なんてずっと後のことを考えなきゃいけないなんてー
面倒くさいことこのうえないです。アスナ、帰ります
おい待てサボり魔!
まったく、大丈夫なのかなこの生徒会……
…………
私はどうすればいい?
あの鈍くさい茜がねー
よくやるよって感じ?
そんなことない、私だって頑張れば……
頑張れば?
頑張った成果がこれだったら、どうすればいい?
もうやめちゃいたい
ああ、ほら、私はこんなにも心が弱い
すず……し…………い
鈴石せん……い
鈴石先輩!
あ……
大丈夫ですか?
アスナたちの話聞いてますー?
あ、ああごめん……意識がちょっと、二次元の方に……
まったく……しょうがない人ですね
さ、佐島くんには言われたくないし!
で、どうします?
今日はみんなで帰っちゃおうって話なんですけど
え……
どうせ今日中にこの資料読むとか無理なんで
手分けして読んできましょう
会計関連の資料もありますし……やっと『生徒会会計』の仕事がきましたよ
書記の仕事は……うぬ、まだ動くときではなさそうです
……ありがとう
ってことで、帰りますよー
それともまだやることがあったりします?
ううん……大丈夫
よしキタああああ
ってことで、お先しつれいしまーす
早っ
騒がしい人です
僕らも帰りますか
……あの
どうしました?
前、『なんかあったら言ってください』みたいなこと言ってたよね
ん……ああ、言いましたね
あの、さ
少しだけ、愚痴を言ってもいいかな
続く。