佐島亮

で、何です? 話って

鈴石茜

その……さ……

鈴石茜

私、自分に自信がないんだ

佐島亮

と、言いますと?

鈴石茜

私ね……中学の頃はすごく鈍くさい子だった

鈴石茜

そのせいでみんなに置いてかれて馬鹿にされて……

佐島亮

今の鈴石先輩を見ているとそうは思えませんけど

鈴石茜

そ、それから頑張ったの……

鈴石茜

頑張ったけど……そうしたら『鈴石は一人で何でもできるから大丈夫だね』って

鈴石茜

結局見放された

鈴石茜

私は頑張り屋……そんな言葉はよく聞く

頑張り屋は損をする

鈴石茜

でも、頑張ったって認められないこともあるし

頑張って作った冊子は勝手に直された

鈴石茜

努力が水の泡になるのだって沢山見てきた

努力したって馬鹿を見る

鈴石茜

私がやっていることって合っているのかな……気が付けば損ばかりで、周りにも見放されて

頑張ることは

鈴石茜

頑張ることは、寂しい

佐島亮

はぁ

鈴石茜

な、何?

佐島亮

何を言いだすと思えばそんなこと

鈴石茜

そ、そんなことって……私は結構真剣に

佐島亮

はっきり言ってくだらないです

鈴石茜

なっ

佐島亮

だって『頑張らなきゃいけない』なんてルールどこにもないじゃないですか

鈴石茜

佐島亮

えーっと、だから……

佐島亮

『頑張る』って結構大変なことですよ
逆に『頑張らない』って楽なことです

佐島亮

頑張りたくないなら頑張る事をやめちゃえばいい、それだけの話じゃないですか

鈴石茜

それは……

佐島亮

だって『頑張らなきゃいけない』なんて決められたわけじゃないんですよね

佐島亮

これって先輩自信の意思じゃないですか

鈴石茜

確かに……

正論だ

佐島亮

でも、ま、先輩には頑張ってもらう義務があります

鈴石茜

な、何矛盾したこと言ってるの!?

佐島亮

だって僕、頑張っている生徒会長にしかついていく気ありませんし

佐島亮

僕が信頼する生徒会長は、真面目で、自分の担当外の仕事にまで手を出して、時間外労働もして、自らの手で新しいものを作り出そうとする人です

佐島亮

いくら仕事ができたって、怠けている人だったらどーでもよくなります。それこそ、ついていきたくないです

鈴石茜

…………

佐島亮

だから、先輩はそのまんまでいてください

鈴石茜

……それは

佐島亮

我儘、でしたか?

鈴石茜

いや、ぜ、全然そんなことない!

鈴石茜

ただ、なんか……うれ、し……くて……

佐島亮

え? ちょ……なんで泣いてるんですか!?

鈴石茜

な、ないてない、し

鈴石茜

まずい……涙が止まらないっ

佐島亮

まったく、先輩は思い込みすぎなんですよ

佐島亮

もっと僕みたいに気楽に生きればいいものをー

鈴石茜

……っ

佐島亮

わー、先輩の髪さらさらだ~

鈴石茜

ひ、人の髪で遊ぶな!

鈴石茜

待って。私、今、頭を撫でられると言う割と高度なシチュに突入してない!?

鈴石茜

ギャルゲだったら攻略対象が固定される瞬間だよ!?

鈴石茜

てか、驚いて涙ひっこんだんですけど!?

佐島亮

じゃ、まあ帰りますか

鈴石茜

うん……あ、その

佐島亮

今度、なんか奢ってください

鈴石茜

なっ!?

佐島亮

人生相談に乗ってあげたんでそれなりの報酬は必要でしょう。あ、現金でもいいですよ

鈴石茜

ちょ、現金って……

佐島亮

じゃ、待ってるんで

佐島亮

また、明日

鈴石茜

あ、ちょっと!?

鈴石茜

お礼を言う隙を与えられなかった

鈴石茜

なんていうか……やっぱり佐島くんには敵わないなあ

鈴石茜

……好き……だな

鈴石さんの恋心は加速する。

伊納アスナ

ほーう……面白いことになったおりますなあ。そろそろアスナの出番でしょうか

続く

頑張り屋なんてやめちゃいたいけど……

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