伊納アスナ

お待ちしておりました~

鈴石茜

……

佐島亮

……

伊納アスナ

どうしました?
そんな不審なものを見るよな目をして

佐島亮

鈴石さん、帰りましょうか

鈴石茜

そうだねー、暑いし

伊納アスナ

寧ろ見てもいない!!

鈴石茜

……まあ一応聞こうか。何をしているの? アスナちゃん

伊納アスナ

よくぞ聞いてくれました会長殿。アスナはただいま謝罪のオペレーション中でして……

伊納アスナ

お二人にどう詫びればいいのか考えた結果

伊納アスナ

まあ、いつも通りに接するのが一番かと

佐島亮

反省する気も持ち合わせていませんね

鈴石茜

そりゃまあ停学処分受けていた問題児だからね

佐島亮

ああ……そういえばそうでした

伊納アスナ

酷いですよー、言葉と態度は無理だと諦めてはいましたが

伊納アスナ

代わりに謝罪の品は持ってきましたので!

鈴石茜

アイス!

佐島亮

流石アスナさん! 気が利きますね!

伊納アスナ

でしょう? もっとアスナを褒めていいのですぞ~

鈴石茜

佐島くん、私たち物で釣れる安い奴だと思われていたんだって

佐島亮

酷いもんです

伊納アスナ

乗り突っ込みならぬ乗り蔑みですか……

鈴石茜

しかもちゃっかり自分の分まで買っちゃって

佐島亮

まったく、とんでもない人です

伊納アスナ

こ、これでも一応アスナは……

鈴石茜

私、バニラもらうね

佐島亮

じゃあ僕はソーダもらいます

鈴石茜

わ……溶けかけてるよ

佐島亮

保存状態悪いですね

伊納アスナ

これでもアスナは…………

鈴石茜

…………

伊納アスナ

アスナは……

鈴石茜

ごめんね、ちょっとからかっただけ

伊納アスナ

え……

鈴石茜

待っててくれたんだね

鈴石茜

アイスがこんなに溶けるまで、さ

伊納アスナ

そ、そうですよ……アスナは何も手伝えそうになかったんで……差し入れでも買ってこようかと

伊納アスナ

でもお二人がいい雰囲気だったんで、アスナ入り辛くて

鈴石茜

い、いい雰囲気!?

佐島亮

なんのことですかねえ

鈴石茜

待って待って? そんな雰囲気あった? あったなら私が知りたいくらいだよ

伊納アスナ

まあそれは冗談だとして、どうもアスナが入れる作業じゃなさそうだったので、終わるまでここで待たせていただきました

伊納アスナ

さあ、食べましょう

鈴石茜

はいはい……って立ち直り早いね

佐島亮

流石アスナさんですねーいただきます

鈴石茜

あ、このアイス棒の部分に言葉が書いてある系だ

佐島亮

懐かしいですね

鈴石茜

んーっと、私のは……

鈴石茜

中吉……思わぬラッキーが訪れる(かも)

伊納アスナ

おお! なかなかいいではないですか。アスナのは……

伊納アスナ

小吉……何かと叱られることが多い

伊納アスナ

いつものことなので問題ないですね!

佐島亮

開き直らないでください。えっと僕のは……

佐島亮

大吉……人から好意を向けられるかも

鈴石茜

!?

佐島亮

はは、そんなことがあったら長年オタクなんてやっていませんって

佐島亮

いや、もしかしたら狐草子の狐ちゃんから多大なる愛を……

鈴石茜

二次元から三次元へのベクトルは存在しない!

鈴石茜

私だって雫ちゃんから好意を向けられたい……

鈴石茜

むしろ結婚を迫られたい!

佐島亮

ここに頭のおかしい奴がいる!

伊納アスナ

それは言わないお約束です

鈴石茜

冗談だよ、まったく……

佐島亮

因みに鈴石さんは……

佐島亮

好きな人とかいたりするんですか? 三次元に

佐島亮

三次元に

鈴石茜

大事なことだからって何度も連呼するな!

鈴石茜

えっと……そういう佐島くんはどうなのよ

佐島亮

さぁ、どうでしょう

鈴石茜

!?

鈴石茜

い、いないならわざわざこんな曖昧な表現はしないはず。え? 予想外過ぎて先が読めない

鈴石茜

まさか、本当に好きな人がいたり……

佐島亮

どうだと思います?

伊納アスナ

いないに一票

鈴石茜

わ、私もいない方にかけようかな! なんとなく

鈴石茜

これでいたりしたら最悪じゃん

佐島亮

ふっ……

佐島亮

大正解で~す

鈴石茜

へ!?

佐島亮

どうしたんです? そんな驚いた顔をして。自分でかけたくせに

鈴石茜

い、いやその、やけにもったいぶってたから本当はちょっと怪しんでいたりもしてて

佐島亮

そういうミステリアスな部分があった方がいいかと

伊納アスナ

ふむふむ、分かります。今度からアスナもその路線でいきましょう

鈴石茜

まったくもって分からないよ!

佐島亮

ま、まあまあ落ち着いてください

佐島亮

てかどうしたんですか? 急に大声出して

鈴石茜

い、いや焦ったというか、動揺して損したというか

佐島亮

何に動揺したんです……?

鈴石茜

べ、別に……なんでもないし

鈴石茜

ツンデレキャラか!!

鈴石茜

いけない、セルフ乗り突っ込みをしてしまった

伊納アスナ

で、生徒会長殿は結局どうなんです?

鈴石茜

え、えっと……

鈴石茜

み、ミステリアスの方がそそるじゃん!

佐島亮

パクらないでください。まあ興味ないですけど

鈴石茜

そ、それはそれでショックだな!

佐島亮

何故です?

鈴石茜

……深い意味はない

伊納アスナ

ではでは、佐島殿の好きなタイプはどんな方でしょう

佐島亮

タイプとか別にないですよ

鈴石茜

元気系妹でしょ

佐島亮

酷いですね。僕は鈴石さんと違ってちゃんと二次元と三次元の区別がついているんで

鈴石茜

私だってついてるし!

佐島亮

そうなんですか!?

鈴石茜

真面目に驚かないでくれるかな……

佐島亮

まあ、僕は騒がしい人でなければ大丈夫です

佐島亮

いるじゃないですかー、教室の隅でぺちゃくちゃうるさい女子たちって

佐島亮

せっかく人が彼女と戯れているって時に

鈴石茜

に、『二次元』の彼女ね!

佐島亮

そうですけど

鈴石茜

とりあえずうるさい女子にはカテゴライズされていないはず

佐島亮

鈴石先輩はどうなんです?

伊納アスナ

アスナも興味あります!

鈴石茜

そういえばアスナちゃんについて聞いていないんだけど!

伊納アスナ

アスナのタイプは一択です

鈴石茜

ほぅ……?

伊納アスナ

筋肉隆々で男気溢れる青春男子! 喧嘩勝りで腕っぷしはアスナよりも強い……! そんな人に憧れますかね

鈴石茜

アスナちゃんより喧嘩が強い……

佐島亮

絶対いませんね

伊納アスナ

今のところはいませんが……いつかは発見します

伊納アスナ

で、会長殿は……

鈴石茜

わ、私急用思い出した!

鈴石茜

じゃ、じゃあ先帰るね!!

伊納アスナ

逃げた……

佐島亮

これは……なんかありますね

伊納アスナ

気になりますか? 佐島殿

佐島亮

そりゃあ……

佐島亮

なかなかおもしろそうな『ネタ』になりそうじゃないですかぁ

伊納アスナ

ふむ……

伊納アスナ

ご自分のことだとは気づかない……おもしろい展開になってきましたぞ

好きなタイプ……?

鈴石茜

タイプってなんだろう……

鈴石茜

佐島くんみたいな人がタイプ……なんて言えないし

鈴石茜

また追及されたらどうしよう

鈴石茜

そもそもアスナちゃんは知っているくせに

鈴石茜

多分、タイプだから好きとかそういうのじゃないんだよな

佐島くんだから好き

鈴石茜

ってなんでこんな恥ずかしいこと考えなきゃいけないんだろうね!?

鈴石茜

タイプ……どこが好きなのか……ああ、難しいなぁ

鈴石さんの悩みは止まらない

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