リカ

パパが迎えに来るの?

東和街駅










レイコ

そうみたい

リカ

なんで? お店あるのに

レイコ

わからない

リカ

あ、パパ来たよ!

リカが指差す。

マスターたちが乗ったライトバンが駅のロータリーに入ってきた。

レイコたちの前で急停車するライトバン。

ユウジ

あ、ハルちゃんも一緒だ!

マスター

早く乗るんだ!


車窓から首を出し叫ぶマスター。

レイコ

どうしたの?血相変えて

マスター

何でもいいから、早く!


レイコと子供たちはあわてて後部座席に乗り込んだ。

ラッシュの時間が過ぎた駅の構内は、家路を急ぐ人たちが数人いるだけで閑散としていた。


追跡してきた集団もロータリーに着くとライトバンを取り囲むように停車した。

ライトバンの前後に少年二人のバイクが停まり、ワンボックスカーは後方に少し距離を置いて停車している。

ハルト

どうするマスター?

マスター

うん、奴らもここじゃあ手が出せないだろ

レイコ

一体なんなの……

マスター

わからん、でも心配しなくていい

子供たちは、ただならぬ様子を感じてじっと黙っている。

サングラスの男のバイクがライトバンの右側に並んで停まった。

マスター

一体、俺達に何の用があるんだ!

マスターは運転席の窓からサングラスの男に向かって叫んだ。

サングラスの男はバイクに股がったまま、黙って、静かにマスターを見下ろしている。





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