明け方近くになって母親は男と一緒に帰ってきた。

泥酔状態の母親を残して男はすぐに出て行った。


寝たフリをしていたケンイチは起きだしてきてリビングルームで酔いつぶれている母親を見下ろしていた。



ケンイチは用意していた電気コードを母親の首に入念に三回巻きつけた。

それでも母親はだらしなく横たわったままだった。

床に尻をつけると電気コードをしっかり両の手のひらに巻きつけ握りしめた。

そのままの姿勢で両足を母親の肩に乗せて固定した。


足を踏ん張ると同時にコードの両端を渾身の力で引き上げた。

さすがに母親も目を覚まして激しく暴れだした。

ケンイチはさらに力を込めた。


コードが食い込み
鈍い音を立てて
喉の骨が砕けた。








長い時間のような気もしたが、あっと言う間の事のようにも思えた。

母親はがくがくと痙攣した後動かなくなった。

 
ケンイチは母親を絞殺する間に二度目の射精をした。


苦悶の表情を浮かべた母親の死顔を見てると可哀そうになった。母親の顔に手を触れてみた。それは冷たかった。悲しくはなかった。





「カアサン・・・・・・」声を出してそう呟いてみた。突然激しい寂しさが溢れてきてケンイチを襲った。




しかし今更どうすることも出来なかったし、すぐにどうでもよい事に思えてきた。


ケンイチは、洗面所行き時間を掛けて入念に両手を洗った。



洗い終えて顔を上げ鏡を見た。




鏡に映る自分の顔が見る見るうちに歪んでいく。





それはやがてトカゲに変わった。






















朝になりケンイチは家を出た。

初雪が積もった街はやけに眩しかった。










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