マスター

ところでどう、お袋さんは見つかりそう?

ハルト

そうねぇ…… なかなか難しいよ。まるで手掛かりが無いから

マスター

だよな、別れてからずいぶん経ってるから……顔だって変わってるだろうしね。ハルだってもう子供の頃とは全然違ってるだろうからね

ハルト

うん、そだね。もうだんだん記憶が曖昧になってきてるんだ……

マスター

やっぱり、壁の外にいると思う?

ハルト

うん、昔あっち側に住んでたからね

マスター

そか、壁の外じゃあ、俺達は自由に行き来はできないからね

ハルト

もう死んじゃってるかもね。もし生きていたとしてもはそんなに長くはないだろうし

マスター

そんなことないよ! 絶対どっかで生きてるって、きっとお袋さんもハルに会いたがってるよ

ハルト

だといいけど

マスター

……でもさあ、なんでお袋さん、ハル残していなくなっちゃったんだろうな?

ハルト

……


ハルトは無言で目を伏せる。

マスター

ああ……ごめん、ハル

ハルト

いや、いいよ

マスター

あの頃はまだ革命の後のどさくさで大変だったもんな、きっとハルのお袋さんもいろいろな事情があって、ハルを安全な児童施設に預けたんだろうな

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