勝者! 獅子奮迅!!!

にゃ(えっへん)

よっしゃあああ!

やったあああ!!!

わーい!!!

ふむ

レオン……大丈夫かな?

 レオンはあの後、倒れて意識を失っていた。

 僕はレオンをおんぶして、ダンジョンを出たのだ。

 そのままクロージングセレモニーに出席している。

結局クレアには敵わないのか……

つか、お前らの銃いいな! 俺のギルドに入れよ!

ほんとだよー! うちにも使わせてー!

いやいや、クレアが入れてくれるわけがねえよ

どうして?

どうしてってお前……きっと本当は俺のことが嫌いなんだろ?

は?

で、賢いお前は、俺がプロポーズしようとしてることに気がついて……

なんかやっぱ女々しいおっさんだな

え……? そうなの?

 クレアが赤くなっている。

え? 違うのか?

はわわわ

おい! クレアが焦っている! これは見物だぞ! みんな集ま

 シンは飛んでいった

続きまして……イルラン国王からギルドマスターへ、メダルの贈呈です

シン、行ってきなよ

ああ! 目立ってくるぜ!

 イルラン国王はめったに顔を見せないことで有名である。

 この授与式で王を拝見できることが楽しみで観覧に来ている民も多いらしい。

 王の登壇とともに会場が沸き立つ。

なかなか見事じゃった

王様って女のひと!?

ダークエルフだねー

 この国はエルフ族が多い。
 どおりで、そういうわけか。

んんっ……

周りのざわめきからか、レオンが目を覚ます。

あれ……ここは?

ああ、起きた? 今からシンが王様からメダルをもらうとこだよ

そうだ! 大変だよ兄ぃちゃん!

ん? どうしたの?

あの黒いドレスの女のひとが……

ん?

……

 僕は噴水を挟んで反対側のテーブルにいる彼女を見る。

えっ!

 いきなり、黒ドレスの女が魔法を放ったのだ。

にゃ! (危ない!)

 魔法は王に向かって飛んでいく。

国王様!!

うおりゃあ!

 気付いたシンが、王を守り体で受け止める。

ちっ……

 今度は僕らの方を目掛けて魔法を放つ魔女。

ロイが私を……? え? え?

 クレアはまだ放心状態で立ち往生していた。

危ない!

 僕は小っちゃいクレアをガッと抱きかかえる。

 いつか車に撥ねられた黒猫を抱いたように。

にゃあああ!!

 魔法はなぜかラファエルに直撃した。

拓雄! 大丈夫か!

な、なんとか……!

猫ちゃんが!!

 ラファエルは倒れたまま、気を失っているようだ。

ラファエルか……

え!?

 今あいつ、ラファエルって言わなかった?
 てか、今のって明らかにラファエルに向けて撃たなかったか?

 ……しかし、今回まだ魔法も使ってない、ただの黒猫だぞ。
 聞き間違いなのか?

みんな! 王を守ってくれ!!

 ロイが叫んだ。

承知! おいクレア!

 シンは、僕に抱えられたクレアに向かって呼びかけた。

お姫様抱っこされた……

おい! クレア! いくぞ!

男の人に守られたの初めて……しかもイケメン

あっ、ごめんクレアさん!

 急いでクレアを下ろす。

拓様……

 クレアがおかしくなった。
 いやいや、それどころじゃない。

 シンに伝えなきゃいけないことがある。

シン! あの魔女!

黒の魔術師の匂いがするって! レオンが!!

な……なんだと!?

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