行け! レオン! もう少しだ!!

……

 水晶部屋に入った途端、急に狼竜は停止した。

うわっ! どうしたんだ!?

レオンたん!?

 レオンの変身が解ける。

どうしたの!? 震えてるよ!?

危ない……

仕方ない! 走って水晶を狙え!

待って

シンは出口を壊し、シェリーとヒーチは辺りの灯を射ち消しなさい

そんなことしたら真っ暗じゃ

そう、暗闇にして

わ、わかった! うおりゃあ!

 シンは出入り口を破壊した。

 ヒーチとシェリーは灯を消す。

 真っ暗。

おい! どうなってるんだ!

これは……クレアさんの計画

 僕は先に指示されていた通り、指に火を灯した。

そこかー!!

 僕を目掛けて一斉に攻撃を仕掛けてくる。


 ……そう、暗闇になったら皆、唯一見える僕に注意がいくと読んだクレアの予測はやはり的中。

ミラージュバリア!

 クレアの魔法が僕を包む。

 そう、一人だけが狙われるなら、一人だけを守ればいいから。

 注意を引けさえすれば僕の仕事は終わり。

ラファエル様! 今だ!

 ラファエルは暗闇の中走り出す。


 ……そう、僕の仕事にはもう一つの理由があった。

 それはラファエルにとってはどんな暗闇でも、僕の魔法程度の光で全てが見えること。

 なにせ猫だから。

 それがほかのギルドにないうちの利点。
 クレアはそこを利用した。

 つまりラファエルだけには、水晶の位置がわかるのだ。

 そして、水晶が光り出す。

 復元の完了だ。

 それに気付いた他の人たちも水晶を目指す。

 しかし時すでに遅し。




 ラファエルが水晶の目の前でスタンバっていたから。

にゃ(えいっ)

 黒猫が水晶をひっかいた。

 水晶はどんな小さな衝撃でも割れる。

 こうして僕らのギルドが、勝利した。

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