私は頷き、絵莉は無言のまま俯いていた。
さっきの話には出てこなかったけど
妹は夢の中で死ぬ時のイメージのようなものを告げられたと言っていた……
…………!
それって……!!
キミたちも……見たの?
…………
私は頷き、絵莉は無言のまま俯いていた。
…………
妹はそれを回避すれば死から逃れられるのではないかとも思っていたようだ……
結局、避けられなかったみたいだけど……
死のイメージ……。
アノ女が確かに夢の中で告げていた。
トンネル・光・赤
それらに近づかなければ、もしかしたら私も死から逃れられる可能性があるのだろうか?
僕は、真実を知りたい。
妹が何故死んだのか、本当にそれが夢と関係しているのか……
夢のせい……
だとしたらこの夢は一体なんなのだろう。
呪い?
そんなものが本当に存在するのだろうか?
僕はこれから妹の死んだ事故現場に行ってみようと思うんだ……
事故現場に!?
何か、わかるかもしれないから……
霧斗さんは真実を知りたいと言っていた。
真実。
それがわかれば、もしかしたら……
私たちが助かる術が見つかるかもしれない。
あっ、あの、私も、一緒に行ってみていいですか?
美織?
私も知りたい。
どうしてサキが死んだのか
何故、私たちも夢を見てしまったのか……
だから、それはサキのせいで……
そう言い掛けて、絵莉は霧斗さんの方を見ると途中で黙り込む。
…………
……ごめんなさい
私はそれがもし、本当にサキのせいなら
どうしてそんな事をしたのか……知りたいの
………………
君たちも夢を見たのなら、何か回避するヒントが見つけられるかもしれない……
絵莉……
わかった……私も行く……
私たちは霧斗さんと共に、サキの死んだ事故現場へ行ってみる事となった。
ねぇ、霧斗さんってどうして入院してたの?
霧斗さんの後ろを歩きながら、私は絵莉にこそっと問いかけた。
何か大きな病気だったんだろうか?
それに、サキからはお兄さんがいるなんて話を聞いてなかった。
言えない事情でもあったのか、なんとなく私は気になっていた。
…………他の人が見えないモノが見えるんだって
見えないモノ?
小さい頃からいないはずの場所に人が見えたり、沢山の黒い影が歩いているのを見たりしていて……
精神科病棟に入院していたの……
絵莉は、幼い頃のことを話してくれた。
三人は幼い頃よく一緒に遊んだそうだ。
絵莉ちゃん、今度は滑り台で遊ぼうよ
待って~……
サキちゃん
ある時
公園で遊んでいる時。
ダメだよ……そっちに行ったら……
えっ?
どうして……?
滑り台に行く事を、霧斗さんに止められたそうだ。
黒い人がいるから……
黒い人?
うん……
あの人は多分……いてはいけない人だ
近づいたらダメだよ……
…………
絵莉はなんだかとても不安な気持ちになったという。
でも、その時確かに霧斗さんには何かが見えていた様に思ったそうだ。
…………
それから少しして、霧斗さんは家からはほとんど出て来なくなった……
そのあと病院へ……
そうなんだ……
私は思った。
彼を取り巻く近寄り難い不思議な雰囲気は、多分そんな境遇からきているのかもしれないと……。
私たちは地下鉄に乗り、サキの自宅の最寄り駅から三っ目の駅で降りた。