うわー!!!

 僕は大地の裂け目へと落ちて行った。




 行くはずだった。

 そこへ狼竜が飛んできて僕を前足で掴んだのだ。

うわー!!!

 狼竜は僕を掴んだまま空を飛び、岩山の頂上へと向かった。

うわー!!!

そこで僕をそっと降ろし、傍へ舞い降りた。

どうなってるんだ!? ……あ! 僕を食べる気だな!

 しかし狼竜は、シンにやられた傷でかなり弱っているようだ。

チャンス、今のうちに早く逃げ……

 狼竜はハアハアと大きな呼吸をしながら横たわる。

だ、大丈夫……?

 ふらふらになりながら、くーんと犬のような鳴き声をする狼竜に、僕は近づいた。

お前、僕を助けてくれたのかい……?

 狼竜は耳だか角だかわからない部位をピクっと動かしたが、そのまま動かない。

そもそもこいつ、シンが一方的に攻撃しただけで、襲う気なんてなかったんじゃ……

 狼竜はレアモンスター。

 とはいえ、その珍しさ目的に討伐対象とされているだけで、何も悪いことをした訳じゃないのではないだろうか。

 だが、シンの話では村を襲った魔術師の手先。

 すなわちシンの復讐相手。

 そして僕の命の恩人。

 シンはこの竜を、絶対に許せないだろう。
 人生を狂わせた相手を前にして。

……お前、このまま逃げなよ

 狼竜は僕の言葉を理解したのか、ゆらっと身体を起こした。

 しかしそこへシン達がやってきた。

ミラージュバリア!!

 クレアは僕に対してバリア魔法を使った。

拓雄! 離れろ!

 シンは今にも襲い掛かりそうな勢いで、斧を構えた。

待って!!

 僕は叫ぶ。

何をしているんだ! どけよ!!

拓雄さん!?

 僕は狼竜に背を向け、両手を広げた。

こいつは僕を助けてくれたんだ!

そんな訳あるか! そいつは俺の親父を!!

頼むよ! 逃がしてやってよ!!

拓くん……

……

……

 沈黙の後、シンは臨戦態勢を解く。

拓雄。俺がどんな気持ちでこの三年間生きてきたか分かるか?

わ、わかってるつもりだよ。でもこいつにも何か事情があったのかもしれないし!

事情? 村一つ消し去らないといけないほどの事情なんてものがあるのか?

それは……

拓雄。お前はもう、俺の友達じゃねえ

 再び斧を構えるシン。

シン、待って!

 シェリーの声も届かず、僕を目掛けて、いや狼竜を目掛けて、シンは飛び出した。

いいよ。わかった。どうせ死んでた命。僕を切ってからにしなよ

 僕はシンが走ってくる方へ身構える。

くそっ! どけよ!!

 シンはそのまま斧を振りあげる。

シン! やめてー!!!

 その時だった。

 月が沈み、太陽が昇る。

 夜が、明けた。

え?

 僕の背後から聞きなれた音が聞こえてきた。

この音、ラファエル様の変身音じゃ?

 しかし、ラファエルではなかった。





 振り向くと、そこにいたはずの狼竜が消え……。

 ケモミミ少年が立っていた。

え?

えっ

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