よろしくお願いします

 僕は深々と頭を下げ、ギルドへの入隊を希望した。

ああ! こちらこそだ! 拓雄!

 彼はシン。

 このギルド『獅子奮迅』のマスターだ。

 マスターといっても今はまだ僕を入れて四人しかいないギルドだから、RPGで言うならパーティーのリーダーってとこだ。

で、シン。いきなり相談があるんだけど……

おう! 何でも言ってみろ! 友達だからな!

もう一人、仲間に入れたい子がいるんだ

ああ? 黒猫ならオーケーって言ったぜ?

いや、ラファエル様はちょっと参加できないんだけど

じゃ、誰? おまっ、他に友達いんの!?

あ、わかりましたわ! あのエルフ美少女でしょ!

うん……

ダメだ! ギルド内でイチャイチャされるのは嫌だ!!

いや、でも僕は別にヒーチと付き合ってるわけではなくて。
むしろこないだ嫌われたってゆーか

ならオーケーだ!!

そこを何とか……って、はやっ!

 その後、ヒーチに意思確認へ行くと、やはりノリノリで参加表明してきた。
 ヒーチはいつか世界を旅してみたいって言ってたからな。

で、いつ出発するのかな?

出発ってなに?

え、戦闘ギルドだけにダンジョン探索とか行くんじゃないの?

いや、王様から結構お金もらってるしな。当分は友達集めしようかと思ってんだけど

は?

なんかよ、お金あげるとみんな寄ってきてくれんだ! 友達なろうって

あんたそれ……

こんな嬉しいこと初めてでよ

 うう……。

 なんかシン、わかるよ。

 僕も流行りのゲーム貸してあげたりとか、ご飯奢ったりとかでしかコミュニケーションとれなかったから。

 でも、それじゃ僕と同じ道を辿るんだな。
 いつか引きこもりに……。

 なんとかしてあげたい。
 シンが自分と重なって見えて、僕は仲間意識を覚えた。

何かを一緒に切磋琢磨して、友情を築いていったほうが、本当の友達になれるんじゃないかな?

おお! 拓雄! お前、良いこと言うなー!

さすが、モテる男は違うね!

婿候補発見かも

魔王とキスしたくせに……

ん? ヒーチ、なんか言ったか?

いやいやいやいや、なんでもない! さあ行こう!

そうか? じゃあ、まずクエストの確認に酒場でも行くか!

 例の酒場は、クエストの受注発注場でもあり、色んな冒険者が集まる場所らしい。

pagetop