と、いうわけなのよ

 シェリーの話によると、シンは王国武闘大会のソロ部門チャンピオン。
 クレアさんは宮廷魔術師、すならち王国のブレイン。
 そしてシェリーはお転婆王女で、社会見学。
 一通りの基本武術は習っているらしい。

 シェリーの社会見学にもちろん王様は反対したが、 最強の二人とギルドを組むならと許可が出た。

 それでシンが王直々にマスターに任命された訳だ。
 シンを見ていると若い頃を思い出すらしい。
 王様もなかなかヤンチャな性格なのだろうか。

まぁ、俺は不細工だし友達いなかったからな! いつも一人ぼっちだったから今回のマスター任命にはチョー人生懸けてんだ! いっぱい友達を作るんだぜ!

友達作りギルドですか……?

ああ! パーティーじゃなくってデッカいギルドにしたいんだ! クレアも婿探し目的なんだよな?

……うるさい

 おいおい、とんだ出会い系ギルドじゃないか。

しかも、うちのギルドが魔王を倒せたら、こいつをくれるんだってよ!

 シンはシェリーを指差しながらそう言った。

べーだ! 私は拓雄みたいなイケメンがいいのに!

 王女は僕に腕を組んでくる。
 またまた鉄板の胸プニだが、今回は大振りである。

ええっ、王女様を!?

ああ、俺にとっちゃ、千載一遇のチャンスってわけよ!

シンはシェリーが好きなんだね

え? なんで? 別にもらえるもんはもらっとこうと思っただけだぜ?

ほんと最低! あんたはね、顔だけが原因じゃなく、そういう気遣いも出来ないところがモテないのよ!

なんだよ、俺は嘘がつけないだけだろ! だってお前見ててもドキドキしねーんだもん!

ほんと失礼!

シン、凄い直球だね

でさでさ、三人で話したんだけどよ拓雄、うちのギルドはいんねーか?

ええっ!? 僕は何にもできないよ!?

またまたぁ

魔王城からの脱走なんて出来た奴、初めてなんだぜ!

いや、あれは色々あって、ほんと運も良かっただけで……

運も実力

わーい! イケメン歓迎ー!

ちょっとラファエル様に相談してからでいいかな……?

あの黒猫か? ああ、いいぜ! 猫ももちろんセットで歓迎だからな!




 そして僕は夕食を済ませた後、自室へ戻った。

というわけなんだけど

嫌よ

そうですよね……

だいたい、貴方よりそのシンって人のほうがだいぶ主人公ぽいのが許せないわね

そうなんですよ! わかってくれます?

は? 貴方がハナクソすぎるって言っているのよ。この屁のカスの粒が

屁のカスの粒!? 最下級感がすごい!

だいたいそんな強そうな人達がいるギルドでハーレム築けるの?

わかんないけど、出会いが多くなるのは間違いなさそうかな。そもそも行く宛がないから僕はちょっと参加してみたい

そういえば王様が戦果として国で雇ってくれるって言ってたわよ。公務員。王女とか狙ったらいいじゃない

その王女様がギルドにいるんですよ

あ、そうだったわね。ふむ……ならいいかもしれないわ。試しに行ってきたら?

え? ラファエル様は?

私は王国でのんびり……いえ、貴方が骨になって帰ってくるのをじっと待つわ。死ねと毎日唱えながら

ええ! ラファエル様のいない豚はただの豚ですやん!

にゃー(いても豚は豚よ。ぶたブタ豚。私は王国のキャットフードが気に入ってるの)

そんなに美味しいんですか?

にゃ(ええ。貴方がこの世から消えてくれればもっと美味しいのだけれど)

僕の命よりキャットフードですか?

にゃ? (いじけているの? そうゆうの止めてくれます? 本当に気持ちが悪いから)

ぐっ、キモいって言われるより、気持ち悪いと言われるほうが胸に刺さりますね……

にゃ(まぁ、いいじゃない。死ぬわけでなし。一度参加してみるといいわ、その婚活クラブに)

や、婚活ではないと思うけど

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