宿屋の息子は宿屋を継ぎ

農家の息子は農家を継ぎ

鍛冶屋の息子は鍛冶屋を継ぎ

領主の息子は領主になる






生まれた瞬間から管理され

すべてが予定調和




現状を維持するために

ただひたすら同じことを繰り返す




種族を維持するためなら

個々の意思など必要ない



異分子など必要ない



 

白の王

というのを考えたんだけど
どうだろう?

黒の王

くだらん

白の王

そうかな

黒の王

意思のない人間を人間とは呼べない

黒の王

考える脳があるというのに
考えることを放棄することは許されない

白の王

考えてないということはないよ
『現状を維持する』という理念の下、行動している

黒の王

だが同じことを繰り返すのだろう?
それは思考しているわけではない、習慣だ

白の王

ふむ、そう言われると反論できないね
習慣は考えてやるものではないからね

白の王

しかし、人間でないというのは極論かな
彼らは人間だよ、歴とした人間だよ

黒の王

俺は人間と認められないな
種族を残すためだけに生きるなど、生きている意味はない

白の王

認めたくないというのは君の勝手な理想だよ

白の王

完全に管理された世界には進歩は確かにないよ
でも、廃退することもない

黒の王

ふん
廃退しないというのは分かるがな

黒の王

たが、進歩は人類に課せられた使命だ

白の王

では、彼らは人類ではないとしたら?

黒の王

人間が人類ではないだと?

白の王

管理された世界であれば、管理する者がいると思わない?

白の王

管理する者を『神』と呼んでも良いかもね

黒の王

『神』か……

白の王

もしかしたら私たちの世界にも神はいるのかもしれないね

黒の王

俺たちを管理しているというのか?

黒の王

馬鹿々々しい、俺は俺だ
自分自身の意思を持って行動している

白の王

私もそう思っているよ






ちゃんちゃん

 

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