しかしお前、まこと綺麗な顔をしておるのう

あ、あの魔王様? この態勢は……

 僕は魔王の部屋へ連れて行かれ、二人っきりにされた。


 そしていきなり、逆壁ドン。

 魔王に襲われそうになっている。性的な意味で。

どこの出身じゃ?

 距離が近い。
 僕の耳元でそう聞いてきた。

えと、日本ってゆう……

知らぬのう。まあよい。
いずれ全ては我のものじゃ

と、とりあえず近くないですか?

なんじゃ? そんなにおびえんでもよい。殺したりはせぬぞ

 魔王はいきなり僕の耳を舐めた。

まままま、魔王様!?

そんなに気持ち良いのか? お前の容姿ならいくらでも経験してきたじゃろうが。
それとも責められるのが好きなのか?

 そうか、ここでは僕の顔がイケメンに見えるんだ。

 元の世界の人が見たら、こんな会話きっと引くよ……。

いえ……そんな、初めてで

まさかその容姿で童貞か!? それは大好物じゃ!

 魔王が僕のお尻を撫でまわしてくる。

はううう!

大丈夫かお前? 目がイッておるが

あ、ありがとうございます!!! 好きです! ファンになっていいですか?

はあ? なんかお前、イケメンじゃなかったらだいぶキモいかもしれんのう

すすす、すみません!

しかし美しいの、お前も殺ってしまいそうじゃ

ひぃ!

がははは。じっくり育ててから童貞をいただくとするかの

 そうだ、相手は魔王だった。
 僕らの命なんて鼻くそほどにも思ってない。


 ヒーチ達を助けなきゃ。
 しかし、どうするか。

 方法は三つぐらい考えられる。


 一、魔王をやっつける。
 二、魔王を僕の魅力で骨抜きにする。
 三、隙を見て牢屋の鍵を開け、みんなで脱走。



 うーん、さすがに一と二は無いな。

 となると牢屋の鍵か。

 まぁ門番が持ってるんだろうけども、普通に行っても死ねるしな。
 僕が使える魔法なんてファイアボールとも言えないアレしか……。

おい、お前は何かできるのか? 魔法とか家事とか

魔法は……

 指先ライターを見せた。

これしか

ぶわぁはっはっはっ! マジかお前、良いのは見てくれだけか!

で、でも、家事でもなんでもします! お願いします、命だけは!

そうじゃの。では、我が葉巻を出したらすぐ火を用意できるよう、側に控えておるがよい

 それから僕はホストのごとくタバコに火をつけ、家政婦のごとく掃除をして、奴隷のごとく着替えやお風呂を手伝った。

 まあ、後半は僕にとってもサービスタイムなのは言うまでもない。

 魔王の浴場は離れにある。
 地下洞窟だ。

ぐへへへへへ

お前、やはりイケメンじゃなかったら相当キモんじゃろうのう……

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