* * *

- 港町ズール -

* * *





船員

じゃぁ、薬草四つと交換だな。まいどあり。

明日の朝、陽があの山のてっぺんから顔を出したら出港だ。
遅れたら置いていくからな。

ソルフェ

ああ、また駄々コネないでくれよ?

船員

駄々じゃない、海には海のルールがあってだな……。
あんたらに講釈しても意味ないか……。

ま、そういうことだ。



乗船券発券所を後にするシーラさん御一行。

ソルフェ

さて、丸一日時間ができたな。

ポメラ

どうする?シーラ。

シーラ

えーっと、宿をとったら自由行動にしましょうか。それで、夜までに宿へ戻ってくる、と。

ソルフェ

ふむ。そうするとしようか。
ただ……

ソルフェ

…安全というわけではなさそうなので、各々が十分注意するように。

ポメラ

…だな。

シーラ

はい。





宿屋を前にそれぞれの想いを胸に秘めます。






双子岬の港町ポルト



















* * *

- セ・カンド

ポルト街道 -

* * *






1日ほど前の事です。



ポルトへの街道をジョギングする

勇者様ともふもふさん。

勇者

よーし、見えてきたな

もふもふ




勇者様の向かう先に

集落が見えてきました。



港町ポルトです。


勇者

行くぜ!あそこまでダーッシュ!

もふー!

勇者

ついたー!

もふ!



港町ポルトは世界の危機にもかかわらず

非常に賑やかで活気があふれています。



それもそのはず。

ツヴァイによる侵略の影も形も

ありませんから。

勇者

んー、ツヴァイの根城に徐々に近づいているはずなのに……。
全く逆の様相だな…。

もふもふ


勇者様は疑問に思います。

勇者

ちょっと街の人に話を聞いてみよう。

街人A

魔王ツヴァイ?

聞いたこともないな。

街人B

この街は3年前に勇者様が平和を取り戻してから、ずっとこの調子よ。

……あら?あなた、どこかで会ったことあるかしら?

勇者

まぁ、平和なら特段何もする必要がなくていいかな……。



質屋でファンガスの切り身(黄)を

査定してもらいながら

独りごちる勇者様。

街人C

はいよ、これと交換できるのはこの品物だよ。


質屋の店主は銀の額当てを出してきました。

勇者

あ、それでいいです。
交換して下さい。



ファンガスの切り身(黄)と

銀の額当てを

交換してもらって

ホクホクの勇者様。


質屋を後にし、

勇者

装備も変えられたし、さっさとナゲー川の渡場に行って向こう岸に渡ろう






と、旅路を急ぐ勇者様は

舟着場へと向かいました。







しかし、舟着場には人っ子一人いません。




勇者

……おかしいな…。

前は誰かしら舟を待つ人か、お客を待つ渡守さんがいたもんだけど……。

もふ!もふ!



不審に思う勇者様に

もふもふさんが何かを主張します。

勇者

どうした?

もふ!もふ!



もふもふさんは

勇者様を誘導するように

舟着場の手前にある

看板の方へと向かいます。


そして、看板の上で

もふもふゆらゆらとたゆたいます。


勇者

その看板がどうかしたのか?



勇者様が看板を覗き込むと、

外出中。しばらく戻りません。
緊急時は舟をご自由にお使い下さい。

渡守


と書かれているではありませんか!

勇者

えー!渡守さんいないの!?

もふもふ



先を急ぐ勇者様、

これにはとても困りました。


道行く人に

渡守さんの行方を

聞いてはみるものの、

街人D

渡守さんねぇ…。かれこれ三週間は見てないわ…。

街人E

まったく、港町の名が泣くぜ。


と、実りのない情報ばかり。

勇者

仕方ないな……。
最近休めてなかったし、
宿を取りながら明日1日様子を見てみよう。









勇者様は舟着場を後にし、

町外れの宿屋で宿を取る事にしました。

宿屋の主

いらっしゃいま……うっ…ゴホンゴホンゴホンゴホン。
失礼。

勇者

1人と1匹泊まりたいんですけど、空いてますか?

宿屋の主

ゴホンゴホン、大丈夫ですよ!それより……



宿屋の主は勇者様の全身を見渡し、

宿屋の主

ごほん、当店の裏には温泉が湧いてますので、ごほんごほん、ご自由にお使い下さい。



と親切にも勇者様に入浴を勧めてくれました。






主が案内の通り


宿屋の裏手へと回ると


そこには立派な露天風呂がありました。


勇者

温泉なんて、何年ぶりだろ?

もふー!




久しぶりの入浴にはしゃぐ勇者様。


勇者

体を洗えー!

もふー!

勇者

服も洗えー!

もふー!



服を洗った手桶のお湯は

みるみる真っ黒になります。




洗濯した服の水気を切り、

湯船へと浸かる勇者様。


もふもふさんは勇者様の

頭の上で気持ちよさそう。

もふー。

勇者

はー、気持ちいなぁ……。




天にも昇る気持ちで

夜空を仰ぐ勇者様。




まん丸の月が、

勇者様を明るく照らします。





ふと、しんみりとした気持ちになる勇者様。

勇者

………

勇者

シーラ……。

勇者

はぁ……

勇者

どうして魔王は現れちゃうんだろうなぁ…。

もふ……。

























つづく




【勇者勇の装備】
レベル  :9
めいせい :217
ぶき   :新品の短剣
よろい  :鋼鉄のよろい
かぶと  :銀の額当て
たて   :なし
どうぐ  :野ばらのペンダント
      焼豚×2
      焼きとり×3
      いつもの額当て
なかま  :もふもふ
とくぎ  :ファイアブレス
じょうたい:露天風呂

【シーラの装備】
レベル  :7
めいせい :100
ぶき   :いつもの本
よろい  :いつもの服
かぶと  :いつもの飾り
たて   :なし
どうぐ  :やくそう×95
      イーサ薬×9
      乗船券×4
なかま  :戦士ポメラ
      大魔導ソルフェージュ
      コボルト
とくぎ  :しょうかん
じょうたい:パーティーリーダー

第25話 双子岬の港町ポルト

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