* * *

- 港町ズール -

* * *







ポメラ

んー!

ポメラ

潮の香りがたまらないぜー!

ソルフェ

結構早くついたな。

シーラ

間に合いましたね。

シーラ

ライル、荷物を持ってくれてありがとう。

ライル

えへへ…。このくらい朝飯前です。

ポメラ

さっき朝飯食べたろー?

ライル

いや、そういうわけではなく…。

ソルフェ

コボルトに言葉のあやを指摘されちゃったら世話ないよ☆ポメラちゃん。

ポメラ

ぐぬぬ…

ソルフェ

さて、定期船の乗船手続きに行こう。









アルザレアを出てから

一晩野宿をした後の朝に

港町ズールへとついた

シーラさん御一行。



明日の出港までに、

乗船の手続きが必要です。












船乗りの理
































* * *

- 乗船券券売所 -

* * *




シーラ

あれ?閉まってる。

ソルフェ

ふむ、少し時間が早かったかの…。



券売所の前で立ち往生する

シーラさん御一行。




すると、券売所の後ろから

ダメだダメだ!
売らないと言ったら売らん!



という、言い争う声が聞こえてきました。

ソルフェ

あれぇ☆?

ポメラ

何か向こうの方で揉めてるみたいだなー。

シーラ

…争いごとは放っておけません。行ってみましょう。

ライル

はいっ!

ソルフェ

ふむ



券売所の後ろへと向かう

シーラさん達。



そこには船乗り風の男の人と

身なりの良い女の人の

姿がありました。


そこをなんとか…。
明日の船でレヴスへ薬を届けないと、あの子が発作を起こしてしまいます…。

船員

今回の定期船は出せないから、乗船券は売れないんだ。出港は5日後に延期。1ヶ月後じゃないから我慢してくれ。

そんな…。

ポメラ

……あの女……アンゲドルバか?

シーラ

え……?今なんて?

ソルフェ

ともかく、人事じゃないね☆

シーラ

はい。

シーラ

すみません…。



船乗り風の男の人に

声をかけるシーラさん。

シーラ

どうして今回の定期船は出せないのですか?

船員

あんたらもお客さんか?

ソルフェ

明日の定期船でレヴスへと向かいたかったのだが…。

船員

あれを見ろ。

枯れ木



船乗り風の男の人は

入江に一本だけ立つ枯れ木を

指差しました。

ポメラ

あの枯れ木がなんなんだ?



ポメラさんが苛立ちながら

問いかけます。



船乗り風の男の人は首を横に振り


船員

違う違う、よく見ろ。枯れ木の方じゃなく、木の枝に止まっている鳥だ。



と言いました。


シーラ

あの鳥がどうかしたのですか?

船員

何羽いる?



シーラさんは指差しながら

鳥の数を数えます。


シーラ

えーっと、1、2、3…7羽ですね。

船員

だろ?

船員

だから、船は出せないんだ。



と、船乗り風の男の人は

肩をすぼめながら言いました。

ソルフェ

ちょっと話が飲み込めないのだが。



ソルフェージュさんも

次第に苛立ち始めます。

船員

なんだ、知らないのか?じゃあ教えてやるよ。



船乗り風の男の人は

偉そうに話し始めました。

船員

船乗りにとってはな、
7は不吉な数字なんだ。

しかも、旅立ちを象徴する鳥が7羽だぞ。
不吉な旅立ちにしかならないに決まってる。

シーラ

はぁ…。

ポメラ

枝に止まる鳥の数なんてすぐ変わるだろ?7匹じゃなくなったら出港できるんだよな?

船員

そう思うだろ?

だがな、あの鳥達は昨日見た時から
ずっと7羽あそこに止まったままなんだ。
増えもしないし減りもしない。

不吉すぎておらァしっこさ漏れそうだ。



船乗り風の男の人は

体をすくみあがらせながら

言いました。


ポメラ

ともかく、7匹じゃなくなればいいんだよな?

船員

あぁ、そうだ。
…くわばらくわばら…。



そう言うと、船乗り風の男の人は

発券所内へと入って行きました。




シーラさん達は

仕方なくその場を後にしました。





* * *






ポメラ

あの鳥、剣で追い払いに行くか?



乱暴な提案のポメラさん。

ソルフェ

いや、やめておこう。
何らかの呪詛の可能性もある。

シーラ

ともかく、気をもんでも仕方ありません。

もう少し近くへ行って様子を見てみましょう。

ポメラ

…だな。











































入江の方へと向かうシーラさん御一行。











遠目にはわかりませんでしたが、

枯れ木へと近づくに連れ、

シーラさん達は

次第に異様な雰囲気を

感じ始めました。





シーラ

空気が重い…。

ポメラ

なんかあるな…。











枯れ木の手前まで来ると、

周りの空気は薄暗くすら感じます。




枯れ木の根本には

3つの薬袋が

置かれています。



気に止まっている鳥達は、

飛び立つことができず、

とてもつらそうです。








ソルフェ

…これは…結界が張られておる。

シーラ

誰がこんなことを…。

ソルフェ

結界を破壊せねば、
ずっとこのまま…。

薬袋を全て同時に破壊すれば
結界も破壊できそう…だが…。



ソルフェージュさんの

言葉に反応するかのごとく

薬袋から染み出すように

黒い影が沸き立ちます。


ポメラ

まぁ…いるよな。

テリブルミスト

 テリブルミストがあらわれた!
 テリブルミストがあらわれた!
 テリブルミストがあらわれた!

ソルフェ

シーラ、気をつけろ。
小奴らは空気の振動を変えて
詠唱を阻害してくる。
あ…り…かよ…な!

ポメラ

あ!ソルフェがテリブルミストにまとわりつかれてるぞ!

シーラ

ソルフェ…ジュ…ま!

ポメラ

おいおい、シーラもかよ!

ライル

こらー!シーラ様から離れろー!



ライルさんは

シーラさんにまとわりつく黒い影を

必死に取り払おうと暴れます。


しかし、全く手応えがありません。


ポメラ

コボルトは元気なようだが、暖簾に腕押しだな…。

ポメラ

しゃあないな、ここは俺様の出番だな。

ポメラ

テリブルミストの弱点は炎だったな…。



ポメラさんは

手に持つ剣を鞘へとしまい、

背中に背負った斧を取り出して

ジャキッという音と共に

短くしていた柄を伸ばします。



そして、握り手の上にある

リングをまわし

火の紋章へと合わせると、

斧の刃はゆらゆらと

赤く光り出しました。

赤く光る斧

ポメラ

行くぜ、覚悟しな。



ポメラさんは斧を両手で持ち、

腰を落としながら、

背面へと手を水平に引きます。


次の瞬間。


赤みを帯びた斧の刃からは

炎が吹き出しと思うと

ポメラ

斧技:猛火豪転戦斧!
《もうかごうてんせんぷ》



と叫んだ後、

斧を力強くぶぅんとスイング!


斧の遠心力でポメラさんの体は

コマのように回転、

斧から吹き出す炎が渦を巻き

炎の竜巻となり

ポメラさんから放たれました。



炎の竜巻が作り出す上昇気流により、

気体状のテリブルミスト達は

シーラさんとソルフェージュさんから

引き剥がされ

炎の渦の中心へと連れ去られます。


燃えているテリブルミスト

アァ…
アァ…     
    アァ…

ポメラ

そのまま結界も吹きとばせ!


炎の渦は小さな竜巻のように

枯れ木へと向かい、

枯れ木と周りの結界を包み込みます。







激しい火柱が立ったかと思うと、

すぐさま火は消え去りました。



後には残ったのは

灰と化した薬袋と

結界に守られて何事もなかったかのような

枯れ木と鳥達。


チチチッ…




どれだけ長い間

鳥達は枝の上で苦しんだのでしょう。



自分の身が

自由になったのを感じると、

鳥達はすぐさま飛び立ちました。

ソルフェ

助かったー☆

ポメラ

んー、ちょっとなまってるな…。

シーラ

え・・・あれでなまってるの?

ポメラ

ここに来るまでほとんどトレーニングしてないしな。

ソルフェ

なんか、棘があるな。

ポメラ

へへっ、気のせい気のせい。

ポメラ

それよりソルフェ、コイツにまた
サラマンダを媒介召喚しておいてくれよ。

ソルフェ

わかったー☆
待ち時間にやっておくねー♪

ソルフェ

さて、鳥は…もはやいないな。



これで定期船は予定通り

出港してくれるでしょう。



シーラさん達は軽い足取りで

乗船券券売所へと

向かうのでした。
















つづく




【勇者勇の装備】
レベル  :9
めいせい :217
ぶき   :新品の短剣
よろい  :鋼鉄のよろい
かぶと  :いつもの額当て
たて   :なし
どうぐ  :ファンガスの切り身(黄)
      野ばらのペンダント
      焼豚×2
      焼きとり×3
なかま  :もふもふ
とくぎ  :ファイアブレス
じょうたい:ツギノへ向かうためポルトへ

【シーラの装備】
レベル  :7
めいせい :120
ぶき   :いつもの本
よろい  :いつもの服
かぶと  :いつもの飾り
たて   :なし
どうぐ  :やくそう×99
      イーサ薬×9
なかま  :戦士ポメラ
      大魔導ソルフェージュ
      コボルト
とくぎ  :しょうかん
じょうたい:定期船待ち

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