ふう……

すっきりしてトイレを出る。

あらっ

うわっ

すると丁度女子トイレから出てきた人物と鉢合わせてしまい、思わず悲鳴を上げた。

何かな、その反応は

い、いえ……ちょっと突然で驚いただけです

彼女は俺の一個上の先輩だ。
年上とは思えない可愛らしい外見をしているのだが、この方も例にもれず変態である。

ふーん……そう

あはは、は……

とりあえず笑ってごまかしておく。
なぜって、いろいろめんどくさいから。

これも何回も言ってる気がするんだが、もしかして変態とめんどくさい人間は紙一重なんだろうか。
Oh my god…….

時に後輩よ、例の件は進んでいるかな?

例の件?

……まさか、忘れたのかい?

あー……いえ、決してそういうワケでは

はい、忘れてませんよ、全く。ええ。

そうか! 事は滞りなく進んでいるか!

……

覚えてはいるが、進んでいるとは一言も言っていないのだが。

ぼう然とする俺をよそに、先輩はうっとりとつぶやく。

ああ……もうすぐあの子が私のモノに……っ

ええー……

先輩の中で勝手に話が膨らんでしまっていた。

待ち遠しいぞ、後輩よ!!

はぁ……

先輩と会うと、いつもこうだ。
話は一方通行。しかも向こう側の。

何をこうも熱心に頼まれているかというとーー

あれ、何してるの?

!!

!!!!

……? どうかした?

他でもない。彼女の紹介である。

あー……いや。実はこの先輩に、君を紹介してくれ、って頼まれてて

まあ、そうなの?

……

先輩の無言が怖い。

はじめまして、先輩。よろしくお願いします

けれど彼女は表面上優等生だから、にっこりと笑って無難な自己紹介を始めた。

ーーきゅんかわ!! ぷりちー!!! きゃわいすぎ!!!!

え……あの……先輩?

さすがの彼女も突然抱きついてきた先輩に驚いて、されるがまま身体を硬直させている。

悪い……先輩、ちょっと病気なんだ……

主に頭の。
まあ彼女の方も性癖的には大差ないが。

……そうなの?

ああ。だからちょっと我慢してくれ

……わかったわ

そんなやり取りが俺たちの間で行われているとは知らず、先輩はスリスリと彼女にすり寄っていた。

んふー! なんという芳しい魅惑の香り!! それにお肌もすべすべもちもち!!

うわぁあ……

こいつぁ最高に気持ち悪い。

ここまででお分かりだと思うが、この先輩、無類の女好きなのである。

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