おはよう

おっす。今日もギリギリだな

ははっ、まぁちょっと……な

誰のせいとは言わないが、今日も定刻ギリギリで着席する。

はぁっ、はぁっ、せ、セーフ……っ!

数十秒遅れて、ヤツも教室に滑り込んだ。

いっそ間に合わなきゃよかったのに……

と思ったのは、本人には内緒だ。色々面倒だから。

けれどふう、と一息ついたのもつかの間。

遅いわよ、二人とも

げっ

!!

またやっかいなヤツに絡まれてしまった。

ーー何かしら?今の「げっ」は?

い、いや、な、何でも……

頼むからもう静かに余生を過ごさせてくれ……。

そう心から毎日祈っているのだが、残念ながら俺の願いは未だに聞き入れられてない。

何がやっかいって、この女。
見た目は大人しい優等生タイプの大和撫子なのだがーー

お仕置きが必要かしら……?

……

……っ

ご覧の通りだ。
もういちいち説明もいらないだろう。
ていうか説明したくないです、マジで。

隣で一人鼻息荒くしてるヤツにとっては最高なのかもしれないが、俺にとっては地獄でしかない。

頼むからよそでやってくれ……

そう現実逃避気味に考えていると、隣のドMが弾丸のようにびっと手を上げた。

お願いします!!

うわぁ……

正直ドン引きだ。
俺、本当にコイツの友達やってていいのかな……と、思うほどに。

そうねぇ……

けれど彼女もまんざらでもないらしく、焦らすように両腕を組んで熟考する。

地べたに這いつくばって頭を垂れなさい、家畜!

はい! 女王様!!

他のクラスメイトたちはもう慣れっこだからか、何ごともないかのように雑談を楽しんでいる。

俺も本当ならあちら側に行きたいのだが、いつも神は残酷だ。

しかもこの相性抜群の二人は付き合っているのだから、手に負えない。

出来るなら俺にも恵んでほしいものだ。
普通に可愛くて、普通に優しい、普通の子を。

CASE4:クラスメイトはドS

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