兄。普通だったら、尊敬の眼差しで見るべき存在。

ーーだが、俺にとってはそうではなかった。

おはよう……

ずいぶん遅い起床だな、我が弟よ!

……

これが件の兄である。

一見爽やかなイケメンに見えるのだがーー

はい、お茶碗

おお妹よ! お前はこの愚かな弟と違って何て優しいいい子なんだっ!!

気持ちわる……

同感だ

見ての通り、兄は妹を溺愛している。しかもかなり重度に。

さすがの妹もこれには辟易しているらしく、冷ややかな瞳を向けている。

愚弟のことなんて放っておいて、私を起こしてくれればいいのにっ! お前ならいつでも大歓迎だぞ!

うわぁ……

この兄のところになんか行ったら、何されるか分からないからだろ。

大兄は自分で起きれるでしょ

じゃあ明日からお寝坊さんになるから、起こしてくれ!!

「あなた、もう朝よ。起きて。……まだ寝てるの? もう、お寝坊さんねぇ。 え? おはようのちゅー? うふふ、仕方ないなぁ。ちゅ

ーーいいっ!!

……

……

気持ち悪い。我が兄ながら、この上なく。

何故だか知らないが、この兄は妹と本気で結婚出来ると信じている。勉強は出来るクセに色々と残念な男なのである。

この男が血を分けた実兄なのだと、考えただけで頭が痛くなってしまう。

ていうか兄妹二人が揃って変態とか……どういう育て方してんだよ俺の両親はっ!

むしろ何で俺が普通に育ったのか。その方が不思議なのかもしれなかった。

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