ー カリスト衛星軌道上 ー






ミナミ

ふんふんふんふ〜ん♪

ゼア

ごきげんだな、ミナミ。

ミナミ

てへへ♪

ゼア

何かあったのか?

ミナミ

知りたいか?

ゼア

……いや、やっぱりいい。

ミナミ

聞け!

ゼア

……。

ミナミ

木星見団子が1本多かった!

ゼア

……それは…よかったな…。

  DMCLN反応を検出!  
  DMCLN反応を検出!
  DMCLN反応を検出!

ゼア

…もう驚かんぞ。

ミナミ

行ってくるぞ!


混沌!
乱立の遺伝子!





































ー真neoTOKIOー
中央TV局前








美心

……です。

今夜半過ぎから雨風が強くなりますので、お帰りの際には十分ご注意ください。

みこちゃん、おつかれさ〜ん。

美心

おつかれさまでーす。

美心

今日はお先に失礼しまーす。

美心

ふぅ…。さて、急がなくちゃ…。


みこ、と呼ばれた女性は

テレビ局の前の道へ出ると、

手を上げてタクシーを止める。

タクシーです

美心

運転手さん、カフェ・ド・アスチューセまでお願いします。

あいよ。






今日は特別な集まりがある日。



どんな集まりかって?



それは…

カランカラン。







火実

遅いよ、美心

美心

ごめーん、火実。お天気コーナの前のコーナーが長引いちゃって…。ところで、妃美子は?


火実と呼ばれた少女は、

くいくいっと親指をカウンター席の方へ向けた。



カウンター席にはコーヒを飲みながら

店長に絡む少女。

妃美子

店長、もう少し焙煎をキツ目にしてくれっていつも言ってるだろ。

お嬢さんにあまり苦いコーヒは似合いませんよ。

妃美子

お嬢さんとかやめてくれ。体がむず痒くなる。

もう少し自分を大切にされてはどうですか?

妃美子

余計なお世話だ。

美心

妃美子!


妃美子と呼ばれた少女は

妃美子

ズズズ


とコーヒを口に含む。


その表情はすましながらも

苦味を我慢しているかのようだ。

妃美子

時間厳守で頼むぜ、美心。

…まだ無理のようですねぇ…。

店長がボソリとつぶやく。

妃美子

…何かしら?

いえ…。

少々バックヤードへ行っておりますので、ごゆっくり。




店長が店の奥へというのを見計らって

妃美子は口を開いた。

妃美子

……気づいた?

火実

うん。

美心

陽美子《よしこ》ちゃんの気が先週から感じられない気がする。

火実

…だよね。

妃美子

アタシもそれが気になって、ちょっと陽美子《よしこ》の家に忍び込んできた。

火実

…さっすが、いい度胸してるよね、妃美子は。





私たちはみな卑弥呼のクローンだ。








* * *





半年前。





私たちはある日突然、

何かに導かれるように出会ったのだ。


そう、全く同時に四人ともばったりと。



何気なく入ったこの喫茶店、

カフェ・ド・アスチューセ。



たまたま座ったテーブル席。



しかし、四角く配置された

4箇所のテーブル席それぞれに

その日私たちは座っていた。




そして、その時。



天からの意思が伝わってきた。





私達4人は同時に首を向けた。


そして感じ取った。

妃美子

!!!

!!!

美心

!!!

火実

!!!



運命的な出会いをした私たちは


毎月ここカフェ・ド・アスチューセで


卑弥呼会を行なっている。






世界情勢の動かし方。

人類に逼る脅威。

身近で起こる可能性のある猟奇的犯罪。



私たちはそれらを感じ取っては

秘密裏に対策をしていた。



正直、私達4人が

世界を裏からコントロールしている

と言っても過言ではなかった。












……だけど、




陽美子の失踪は予見できなかった。









* * *



妃美子

これを見てくれ…

美心

水晶のかけら…?

火実

これって、もしかして陽美子の大事にしてた?

妃美子

……陽美子の部屋には、水晶の破片が散らかっていた。だが争った形式はなかった。

ミナミ

へー

妃美子

まるで、突然別の世界へと連れ去られたかのように、な。

火実

そっか…。

世界が違うから感じ取れないのか…。陽美子の気配…。

美心

……ごくり

ミナミ

へー

美心

……

妃美子

……

火実

……だ…誰だ!?

ミナミ

にっこり

ミナミ

チェーンジ
パニーーーーッシュ!

ミナミ

パアァァ

ゼア

消費ゲオライト:15

ミナミ

都会の片隅の隠れ家的カフェで
ヒソヒソ話の井戸端会議!

ミナミ

世界は私達の手のひらの上ですって?

ミナミ

その思い上がった心、応援してあげちゃいます!

ミナミ

ソウルパニッシャー☆ミナミ参上!

ミナミ

そこの怪電波受信アンテナクローン軍団!応援(おしおき?)の時間よ!

美心

……心の中で思っただけなのにー。

ミナミ

ミナミスキャーン!

ゼア

消費ゲオライト:10

美心

入日 美心《いりひ みこ》

卑弥呼の第6世代クローン
オリジナルの素養を活かしながら
気象予報士兼お天気お姉さんとして活躍。

後天的影響により、本番中に一度噛むと
ひどく動揺してその後は連発して噛み続ける。
その日は家でひどく酒に溺れる程、酒癖も悪い。

妃美子

京極 妃美子《きょうごく ひみこ》

卑弥呼の第3世代クローン
オリジナルの素養を余すこと無く行かしてはいるものの
後天的影響により、日出づる処ではなく
影の存在として生きている。

裏社会を牛耳る影のフィクサー。

火実

小高 火実《こだか ほのみ》

卑弥呼の第5世代クローン
オリジナルの素養は持つものの、
自らがクローンであることを快く思っておらず、ただの女子高生としての生活を謳歌している。

しかしながら、他の3人との数奇な出会いを経て、次第に卑弥呼のクローンであることに運命を感じ始めている。

ミナミ

あなた達…とても不思議な出会いをしたみたいね……。

ミナミ

まさか、4人が同時にばったり出会うなんてね……。

ミナミ

……あぁ、運命とは、なんてかくも不思議なのかしら!!

美心

……

妃美子

……

火実

……

ミナミ

……でもね。

ミナミ

現実世界ってもっと不思議な事が普通にありますからー!

ミナミ

よくあることです!

妃美子

ぶち

火実

こわ

美心

しー!

ミナミ

サンステージ・オン!

ゼア

消費ゲオライト:10

篝 玲央

ミ・ナ・ミー!

篝 陽美子

ミナミちゃーーーん!!

ゼア

獲得ゲオライト:40

妃美子

あ!陽美子!

美心

何でこんなとこに!?

火実

ともかく、連れて帰ろう!

ミナミ

みんなーーーー!
久しぶりのライブだねーーー!

ミナミ

今日はですね、女の美しき友情を熱く歌い上げます!

火実

……友情なんて……私たちはそんな軽い言葉で繋がってるわけじゃない……

ミナミ

では行きます。

ミナミ

『知らぬが仏』

妃美子

歌詞が想像できない!

美心

え?誰か隠し事してるっていうの?

ミナミ

♪〜♪〜♪♪♪♪〜〜

妃美子

こぶしが効いてる…。

火実

演歌とか性に合わな〜い

ミナミ

♪〜♪〜♪♪♪♪〜〜

美心

…でもこの歌…何かを考えさせられる…。

火実

……私達…何で4人だけで
世界を牛耳れるとか考えてたんだろう

ミナミ

♪♪♪♪〜〜〜〜
♪♪♪♪〜〜〜〜

妃美子

……思い上がっていたわ……

ミナミ

♪♪♪〜〜〜♪♪
♪〜〜〜♪〜〜〜

美心

…もっと…もっとたくさんの仲間を増やそうよ!

妃美子

……そうね…。私達だけが特別なわけじゃないわよね。

篝 玲央

ラブリー♪
ラブリー♪
ミ・ナ・ミー!

篝 陽美子

ラブリー♪
ラブリー♪
ミ・ナ・ミー!

美心

ラブリー♪
ラブリー♪
ミ・ナ・ミー!

火実

ラブリー♪
ラブリー♪
ミ・ナ・ミー!

妃美子

ラブリー♪
ラブリー♪
ミ・ナ・ミー!

ゼア

獲得ゲオライト:150

ミナミ

細かいことは気にせず
体当たりで生きてけー!

ミナミ

ソーーーーーウル

ミナミ

パニーーーーッシュ!!!

美心

きゃぁぁ

妃美子

いやぁん

火実

はえぇ

ゼア

消費ゲオライト:120

篝 陽美子

みんなも来たのね。

妃美子

陽美子……。

篝 陽美子

せーの、

妃美子

ミナミちゃーーーん!!

火実

ミナミちゃーーーん!!

美心

ミナミちゃーーーん!!

篝 陽美子

ミナミちゃーーーん!!

ゼア

獲得ゲオライト:150

ゼア

今回のゲオライト収支:
+185






こうして




この世界から




全ての卑弥呼が消え




狂った歯車は正された。




おや…お会計まだなのに…。

ゼア

収容人衆が少ないステージであっても、今回のように同時勧誘数が多ければ赤字にはならない。


しばらくは同時勧誘数を多くする方向で狙って行きたいがな。

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