目的
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村長の応接間に通されると、丸いテーブルと、いくつかのソファ、それと、高価ではない美術品が置かれていた。
勇者たちを迎えてくれたのは、村長には似つかわしくない、まだ若い女性であった。
魔法協会からの紹介で
こちらへ伺いました
冒険者協会へお頼みしたはずなのに
魔法協会だけじゃなく
勇者まで来ていただけるとは
大変心強いです
勇者が思い出したように小声で言った。
えっと
そういえば
ここに来た理由って
なんだっけ?
あたしは
ここの名物かなぁ
揚げ芋は有名だな
ゆうしゃさまは
わたくしに依頼が終わったら
近くの南の海岸で
ぼくと泳ごうって言ってました
そうだったかな?
ええ、たしか
そう言ってました
ゆうしゃさま
わすれっぽいから
そう言われると
なんか、そんな気もしてきた
おお、ゆうしゃよ
だまされるとは
なんとなげかわしい
お話が盛り上がってる
ところすみませんが
こちらに聞こえてますよ。
そのようですね
彼らのことは
気にしないでください
話を進めましょう
いいのですか?
ええ、
海水浴にも
揚げ芋にも
興味はありませんから
死因が分からない
不可解な死体がある
という情報は
そちらにも伝わって
いると思います
毎年この時期にあるとか
今年で4度目になります
警戒してたのですが、2日前に
まだ保管はされてますか?
昨日、魔法協会の方がきまして
見ていきましたので
まだ安置所に保管されています
村長は、ウィステリアに鍵を渡した。
今年こそ
なんとかお願いします
村長は、これから村で集まりがありますので、これで、と挨拶をして応接室から出て行った。
おこらしちゃったかな
そりゃ、ねぇ
でも、いいんじゃないの
ウィステリアは
何も言ってなかったけど
あんたの趣味って?
お茶です
渋っ!
まぁ、お茶は渋いものです
いやいや
味じゃないから