息抜き

死体安置所は、村はずれの埋葬地の隣にあった。

まだ明るいにもかかわらず、暗い雰囲気は、その役割から来るところも大きい。

人通りもすくなく、静かなのがそう感じさせるのかもしれない。

30分ほどの間、遺体を入念に調べていたウィステリアが立ち上がった。

カスミ

どうだ?
何かわかったか?

ウィステリア

まあ、私が来て
正解だったわね

カスミ

自画自賛ですか

それで?

ウィステリア

魔法が利用された
痕跡はほぼなし

死に至る外傷もなし
あるのは古傷のみ

臭いもなく
毒殺でもないわね

カスミ

それって
なにも、わからないって
ことじゃね?

ウィステリア

いちいち
うるさいわね

カスミ

いやぁ
暇なもんで

30分だよ30分

ランチして○○して
昼寝ぐらいできる時間だよ

それを聞いたウィステリアが、深呼吸をするように長いため息をついた。

自分だけが仕事をしていたのだから当たり前と言えば当たり前だ。

ウィステリア

暇なら寝てても
いいのよ

カスミ

こんなとこで
寝れるか

ウィステリア

どこでも寝られる
あなたが
今更、上品ぶっても

カスミ

そうじゃなくて
埋められるだろ

ウィステリア

大丈夫
ゆしゃさまがいるから

カスミ

ゆうしゃに頼んで
生き返らせては
くれるつもりなのな

この世界では、人を生き返らせることができるのだ。

ただ、誰でも生き返らせられるわけではない、その代償は大きなものなのだ。

通常、神官などが行うことだが、彼らのパーティのゆうしゃにも、人を生き返らせる能力はあるのだった。

ウィステリア

誰がそんなことを?
ゆうしゃさまがいるから

カスミは
いらないかなって

カスミ

言わせておけば

でも、ゆうしゃは
何も考えてないぞ

それを聞いたウィステリアがクスッと笑う。

確かにゆうしゃは何も考えていない。
そう、不思議なくらい本当に考えていない。

それを連れて行くのは、ここで寝ると同じくらい物好きの行動だといえた。

ウィステリアは、話題を戻した。

ウィステリア

ほぼなしだから
魔法もしくは魔法の道具が
使われたってのはたしか

たぶんだけど
相手の魔術師は、死霊系かなぁ

カスミ

それでどうする?

ウィステリア

これ、死霊魔術の領域だから
結果はどちらにしろ
あまりよろしくないわね

降りた方がいいかな

カスミ

おやおや
あんたにしては
弱気だね

ウィステリア

そうかしら?

ただ、人の魂を弄ぶのをみて
いい気分じゃないのはあるわね

それで静かなようだけど
あの二人は?

カスミ

こんな場所でもかまわず
あの二人は騒ぐから

外にでて待って
もらってるよ

ウィステリア

あら、じゃあ
あなたの隣にいるのは誰?

カスミは慌てて周りを見回した。

そこには何もない空間があるだけだった。

予想してなかったことを言われ鼓動が大きい。

からかわれたのだ。

カスミ

ウィステリア!

ウィステリア

あーあ
すっきりした

それはウィステリアのささやかな仕返しだった。

カスミ

あたしゃ、あんたの
気分転換の道具じゃ
ありませんぜ

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