息抜き
息抜き
死体安置所は、村はずれの埋葬地の隣にあった。
まだ明るいにもかかわらず、暗い雰囲気は、その役割から来るところも大きい。
人通りもすくなく、静かなのがそう感じさせるのかもしれない。
30分ほどの間、遺体を入念に調べていたウィステリアが立ち上がった。
どうだ?
何かわかったか?
まあ、私が来て
正解だったわね
自画自賛ですか
それで?
魔法が利用された
痕跡はほぼなし
死に至る外傷もなし
あるのは古傷のみ
臭いもなく
毒殺でもないわね
それって
なにも、わからないって
ことじゃね?
いちいち
うるさいわね
いやぁ
暇なもんで
30分だよ30分
ランチして○○して
昼寝ぐらいできる時間だよ
それを聞いたウィステリアが、深呼吸をするように長いため息をついた。
自分だけが仕事をしていたのだから当たり前と言えば当たり前だ。
暇なら寝てても
いいのよ
こんなとこで
寝れるか
どこでも寝られる
あなたが
今更、上品ぶっても
そうじゃなくて
埋められるだろ
大丈夫
ゆしゃさまがいるから
ゆうしゃに頼んで
生き返らせては
くれるつもりなのな
この世界では、人を生き返らせることができるのだ。
ただ、誰でも生き返らせられるわけではない、その代償は大きなものなのだ。
通常、神官などが行うことだが、彼らのパーティのゆうしゃにも、人を生き返らせる能力はあるのだった。
誰がそんなことを?
ゆうしゃさまがいるから
カスミは
いらないかなって
言わせておけば
でも、ゆうしゃは
何も考えてないぞ
それを聞いたウィステリアがクスッと笑う。
確かにゆうしゃは何も考えていない。
そう、不思議なくらい本当に考えていない。
それを連れて行くのは、ここで寝ると同じくらい物好きの行動だといえた。
ウィステリアは、話題を戻した。
ほぼなしだから
魔法もしくは魔法の道具が
使われたってのはたしか
たぶんだけど
相手の魔術師は、死霊系かなぁ
それでどうする?
これ、死霊魔術の領域だから
結果はどちらにしろ
あまりよろしくないわね
降りた方がいいかな
おやおや
あんたにしては
弱気だね
そうかしら?
ただ、人の魂を弄ぶのをみて
いい気分じゃないのはあるわね
それで静かなようだけど
あの二人は?
こんな場所でもかまわず
あの二人は騒ぐから
外にでて待って
もらってるよ
あら、じゃあ
あなたの隣にいるのは誰?
カスミは慌てて周りを見回した。
そこには何もない空間があるだけだった。
予想してなかったことを言われ鼓動が大きい。
からかわれたのだ。
ウィステリア!
あーあ
すっきりした
それはウィステリアのささやかな仕返しだった。
あたしゃ、あんたの
気分転換の道具じゃ
ありませんぜ